内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:184

日本人アルツハイマー病高齢者の手段的日常生活動作に対する影響

 鹿児島大学の田平 隆行氏らは、地域在住のアルツハイマー病(AD)高齢者における認知機能障害の重症度による手段的日常生活動作(IADL)の特徴を明らかにするため、生活行為工程分析表(PADA-D)を用いた検討を行った。IADLの工程を詳細に分析した結果、著者らは、地域在住のAD高齢者において重症度による影響の有無といった工程の特徴を明らかにできるとし、IADLのリハビリテーションやケアが在宅での生活を継続するうえで役立つ可能性を報告した。International Psychogeriatrics誌オンライン版2022年7月15日号の報告。  日本の医療センターおよびケアセンター13施設より募集した地域在住のAD高齢者115例を対象に、横断的研究を実施した。認知機能障害の重症度はMMSEを用いて3群(軽度:20以上、中等度:20未満10以上、重度:10未満)に分類し、共変量で調整した後、IADLスコアとPADA-DのIADL 8項目について群間比較を行った。PADA-Dの各IADL項目に含まれる5つの実行可能なプロセスの割合を比較した。

たくさんある睡眠薬、どれを使うべきか (解説:岡村毅氏)

睡眠薬はとてもたくさんの種類がある。そして、それぞれがエビデンスの裏付けがある。具体的には、プラセボ(偽薬)あるいは従来の薬と比較して、膨大な数のスタディが行われているのである。効果があるとか、有害事象が少ないとか、それなりのよい結果が積み重ねられて、市場に出てくる。 この膨大な数のスタディをまとめて、そもそもどの薬が、効果がきちんとあって、有害事象が少ないか、一望しようというのがネットワークメタ分析である。精神科というのは、患者さんがとても多く、社会的ニーズが大きい。同時に、病態や治療の数値化が難しい(たとえば高血圧の治療なら血圧という数値がすべてを物語るのと真逆だ)。よって、とくにさまざまな薬が乱立する傾向にある。

8種の中和抗体薬、BA.4/BA.5への有効性は?/東大医科学研究所

 新型コロナウイルスの研究を推進する東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らによる研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)」は、新系統のBA.2.11、BA2.12.1、BA.4、BA.5を含むオミクロン株の各系統に対して、8種類の中和抗体薬の効果をin vitroで検証した。その結果、日本で未承認のbebtelovimabが、現在国内で主流となっているBA.5にも有効であることが確認された。本結果は、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2022年6月8日号のCORRESPONDENCEで報告。  研究対象となったのはFDA(米国食品医薬品局)で承認済み、および国内で一部承認済みの中和抗体薬で、カシリビマブ・イムデビマブ併用(商品名:ロナプリーブ、中外製薬)、ソトロビマブ(商品名:ゼビュディ、GSK)、tixagevimab・cilgavimab併用(海外での商品名:Evusheld、AstraZeneca)、bebtelovimab(Lilly)、bamlanivimab・etesevimab併用(Lilly)となっている。

2022-23年シーズンのインフル対策に4つの提言/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、7月26日に同学会のホームページで学会提言として「2022-2023年シーズンのインフルエンザ対策について」(医療機関の方々へ)を公開した。  現在、わが国は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第7波の真っただ中であるが、インフルエンザについては、国内でCOVID-19の流行が始まった2020年2月以降、患者報告数は急速に減少していた。

BA.4/BA.5に強力な中和抗体反応/2価ワクチン候補mRNA-1273.214

 2022年7月11日(現地時間)、Moderna(米国)は、オミクロン株亜系統BA.1を含む追加接種用2価ワクチン候補mRNA-1273.214について新しい臨床データを発表し、mRNA-1273(商品名:スパイクバックス筋注)による追加接種と比較して、オミクロン亜系統BA.4およびBA.5に対する有意な中和抗体反応が示されたことを発表した。  Modernaは、各市場におけるオミクロン亜系統の状況に応じて、今秋に向け2種類の追加接種用2価ワクチン候補の開発を進めている。今回公表されたのは、そのうちのmRNA-1273.214に関するデータである。主な結果は以下のとおり。 ・接種時に感染のない被験者において、2価ワクチン候補mRNA-1273.214 は、既存のmRNA-1273による追加接種と比較して、BA.4/BA.5に対して有意に高い中和抗体価を示し、幾何平均比は1.69(95%信頼区間[CI]:1.51~1.90)であった。 ・追加接種から1ヵ月後の時点におけるBA.4/BA.5に対する中和抗体価は、mRNA-1273.214 では776(95%CI:719~838)、mRNA-1273による追加接種では458(95%CI:421~499)であった。

コロナとインフルワクチンの同時接種での副反応、ファイザー製vs.モデルナ製

 日本国内でも先日開催された厚生労働省の厚生科学審議会・予防接種・ワクチン分科会にて、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種が了承された。世界ではすでに同時接種を行う例もあり、米国・CDC COVID-19 Response TeamのAnne M Hause氏らが同時接種による有害事象の増加有無、ワクチンメーカーによる違いについて調査した結果、新型コロナワクチンのブースター接種とインフルエンザワクチンを同時接種した者は新型コロナワクチンのみを接種した者と比較して、接種後0~7日の全身反応の報告が有意に増加していたことが明らかになった。ただし、それらは軽度~中等度であること、また、同時接種による調整オッズ比[aOR]はファイザー製で1.08、モデルナ製で1.11であったことも示唆された。本研究はJAMA Network Open誌2022年7月15日号に掲載された。

ファイザー製とAZ製、コロナワクチンの有効性を比較 /BMJ

 イングランドでは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)アルファ変異株の流行期の健康な医療従事者において、BNT162b2(mRNAワクチン、ファイザー製)とChAdOx1(ウイルスベクターワクチン、アストラゼネカ製)という2つのワクチンには、接種後20週以内のSARS-CoV-2感染および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生について実質的な差はなく、これらの発生率は初回接種後3~4週間目には急激に低下して、それ以降はCOVID-19関連の受診や入院が少なくなったことから、両ワクチンはいずれもアルファ変異株によるCOVID-19に対する強力な予防効果を有することが、英国・オックスフォード大学のWilliam J. Hulme氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2022年7月20日号で報告された。  研究グループは、イングランドの医療従事者およびソーシャルケアワーカーにおいて、SARS-CoV-2感染とCOVID-19発生に対する2つのワクチン(BNT162b2、ChAdOx1)の有効性を比較する目的で、イングランド国民保健サービス(NHS England)の委託として、効果比較試験に類似のコホート研究を行った(英国研究技術革新機構[UKRI]などの助成を受けた)。  SARS-CoV-2アルファ変異株が優勢な時期におけるOpenSAFELY-TPPの研究プラットフォーム内で利用可能なプライマリケア、病院、COVID-19サーベイランスの記録が関連付けられた。

アルコール依存症リスクに対する喫煙の影響

 喫煙と飲酒には強い相関があるといわれている。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのClaire Garnett氏らは、イングランドにおける飲酒者の喫煙率および喫煙の特性について、アルコール依存症リスクの有無による比較を行った。その結果、アルコール消費量増加と喫煙率上昇との関連が認められたことから、著者らは、アルコール依存症リスクを有する喫煙者では、英国国民保健サービス長期計画(NHS Long Term Plan)の一環として喫煙率を低下させることが重要であると報告した。The Lancet Regional Health. Europe誌2022年6月9日号の報告。  イングランドの成人(weighted n:14万4,583人)を対象に毎月実施された断面調査のデータ(2014~21年)を用いて、分析を行った。喫煙および禁煙チャレンジの特徴は、調査年で調整した後、アルコール依存症(飲酒者のアルコール依存症リスクの有無別)で回帰した。  主な結果は以下のとおり。

BA.4/BA.5に対するコロナ治療薬の効果を比較/NEJM

 国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波ではオミクロン株BA.5が主流となり、感染拡大が急速に進んでいる。また海外では、BA.4やBA.2.12.1への置き換わりが進んでいる地域もある。東京大学、国立感染症研究所、国立国際医療研究センターが共同で行った研究において、これらの新系統BA.2.12.1、BA.4、BA.5に対し、4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性を検証したところ、国内で承認済みの抗ウイルス薬が有効性を維持していることが示唆された。

有害量のアルコール摂取、若年男性で多い:GBD2020/Lancet

 アルコール摂取に関する勧告は年齢および地域によって異なることを支持する強いエビデンスがあり、とくに若年者に向けた強力な介入が、アルコールに起因する世界的な健康損失を減少させるために必要であることが、米国・ワシントン大学のDana Bryazka氏らGBD 2020 Alcohol Collaboratorsの解析で明らかとなった。適度なアルコール摂取に関連する健康リスクについては議論が続いており、少量のアルコール摂取はいくつかの健康アウトカムのリスクを低下させるが他のリスクを増加させ、全体のリスクは地域・年齢・性別・年によって異なる疾患自然発生率に、部分的に依存することが示唆されていた。Lancet誌2022年7月16日号掲載の報告。