内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:182

コロナ関連死リスク、BA.1株はデルタ株より低い/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のリスクは、オミクロン変異株(BA.1)のほうがデルタ変異株(B.1.617.2)より低い。英国・Office for National StatisticsのIsobel L. Ward氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。これまでに、オミクロン株のすべての系統(BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5)はデルタ株より感染しやすいが、SARS-CoV-2検査陽性後28日以内の入院および死亡リスクは、オミクロン株のほうがデルタ株より低いことが示唆されていた。しかし、オミクロン株とデルタ株で、死亡診断書から特定されるCOVID-19関連死のリスクを比較した研究は不足していた。BMJ誌2022年8月2日号掲載の報告。

女性の果物や野菜の摂取とうつ病リスクとの関係

 特定の食品群がメンタルヘルスの改善に重要な役割を担う可能性を示唆するエビデンスが増えている。しかし、個々の食事の因子と抑うつ症状との関連を長期にわたる大規模コホートでフォローアップした調査は、これまでほとんどなかった。オーストラリア・マッコーリー大学のPutu Novi Arfirsta Dharmayani氏らは、Australian Longitudinal Study on Women's Healthのコホートより1973~78年に生まれた女性を対象に15年間のフォローアップを実施し、抑うつ症状に関連する果物および野菜の影響を調査した。その結果、果物および野菜の摂取量が多いほど、長期にわたる抑うつ症状リスク低下と関連することが示唆された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2022年7月21日号の報告。

幼児のいる親はコロナ重症化リスクが低い~300万人超の分析

 米国・Kaiser Permanente Northern California(KPNC)のMatthew D. Solomon氏らが、幼児と接する機会の有無が、成人のCOVID-19重症化リスクに影響するかどうかを、300万人超の大規模なリアルワールドデータで調査した。その結果、家に0~5歳の子供がいる成人では、家に子供がいない成人に比べて重症化率が有意に低いことが報告された。これまで、小児では、過去のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの曝露による交差免疫が、COVID-19の重症化予防に寄与している可能性が示唆されている。そこで、5歳未満の小児のいる成人ではウイルスへの曝露機会が増加するため、成人のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの交差免疫の有無を小児との接触と推定して、COVID-19の重症化リスクを評価することにした。Proc Natl Acad Sci USA誌2022年8月16日号に掲載。

医療者のブレークスルー感染率、3回vs.4回接種

 オミクロン株流行下において、感染予防の観点から医療従事者に対する4回目接種を行うメリットは実際あったのか? イスラエルでのオミクロン株感染ピーク時に、3回目接種済みと4回目接種済みの医療従事者におけるブレークスルー感染率が比較された。イスラエル・Clalit Health ServicesのMatan J. Cohen氏らによるJAMA Network Open誌オンライン版2022年8月2日号掲載の報告より。  本研究は、イスラエルにおけるオミクロン株感染者が急増し、医療従事者に対する4回目接種が開始された2022年1月に実施された。対象はイスラエルの11病院で働く医療従事者のうち、2021年9月30日までにファイザー社ワクチン3回目を接種し、2022年1月2日時点で新型コロナウイルス感染歴のない者。4回目接種後7日以上が経過した者(4回目接種群)と、4回目未接種者(3回目接種群)を比較し、新型コロナウイルス感染症の感染予防効果を分析した。感染の有無はPCR検査結果で判定され、検査は発症者または曝露者に対して実施された。

COVID-19陽性者のメンタルヘルスに対するヨガの効果

 COVID-19パンデミックは、社会全体にストレス、不安、うつ病の増加をもたらした。とくにCOVID-19の検査で陽性となった人々では、メンタルヘルスやウェルビーイングへの影響が大きい。インド工科大学デリー校のNitesh Sharma氏らは、COVID-19の影響を受けた患者のストレス、不安、うつ病の軽減に対するヨガ介入療法の有効性を評価するため、COVID-19病棟における準ランダム化比較試験を実施した。また、COVID-19の影響を受けた患者のSpO2と心拍数の測定も実施した。その結果、ヨガ介入療法は、COVID-19陽性者のストレス、不安、うつ病の軽減に対し、実践可能な介入である可能性が示唆された。International Journal of Yoga Therapy誌2022年1月1日号の報告。

オミクロン株対応2価ワクチンを国内承認申請/ファイザー

 ファイザー社は8月8日付のプレスリリースで、オミクロン株対応の新型コロナウイルスワクチンを厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。今回申請したワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源株と、オミクロン株BA.1系統のスパイクタンパク質をそれぞれコードする2種類のmRNAを含む2価ワクチンで、生理食塩水での希釈が不要なRTU製剤となっている。  同社の2価ワクチンの効果については、6月25日付の米国でのプレスリリースによると、56歳以上を対象とした第II/III相試験において、現行のワクチンと比較してオミクロン株BA.1に対して大幅に高い中和抗体反応を示し、中和抗体価の幾何平均比(GMR)は、2価ワクチン30μgで1.56(95%信頼区間[CI]:1.17~2.08)、60μgで1.97(95%CI:1.45~2.68)であった。追加接種から1ヵ月後では、オミクロンBA.1に対する中和幾何平均抗体価(GMT)が、30μgで9.1倍、60μgで10.9倍に追加接種以前より増加した。

「BA.1対応型」で10月接種開始予定、小児へのワクチンは「努力義務」に変更/厚労省

 オミクロン株対応ワクチンについて、本邦では10月半ば以降、初回接種を完了したすべての住民を対象に接種を開始することを想定して「BA.1対応型」2価ワクチンの導入を進めることが、8月8日に開催された第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承された。また同会では、小児(5~11歳)の新型コロナワクチン接種について現行の取り扱いを変更し、努力義務の適用とすることも了承された。

スタチン服用の日本人患者で発がんリスクが有意に低下

 スタチン製剤の服用によって、日本人の脂質異常症患者の発がんリスクが低下したことが報告された。東京理科大学の前田絢子氏らが、保険請求データを用いた大規模な人口ベースの後ろ向きコホート研究を行い、スタチン製剤と日本人患者における発がんリスクの関係を調査した。近年の調査において、スタチン製剤が特定のがんの発生率を低下させる可能性が示唆されている。しかし、臨床試験では明らかにされておらず、日本人患者での調査も限定的であった。Cancer prevention research誌オンライン版2022年8月2日掲載。  本調査の対象は、2006~2015年に脂質異常症と新たに診断された患者。日本の保険請求データを用い、期間中にスタチン製剤を服用開始した群(服用群)と、年齢・性別・診断年に応じて無作為に抽出した非服用群を比較した。解析対象は各群23,746例で平均追跡期間は約2年、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。

DPP-4阻害薬は胆嚢炎発症リスクを増加させる(解説:住谷哲氏)

 DPP-4阻害薬は低血糖を生じにくい安全な血糖降下薬として多くの患者に処方されている。しかしこれまでにDPP-4阻害薬投与と、心不全、水疱性類天疱瘡、急性膵炎、重症関節痛との関連が示唆されてきた。とりわけ初回治療薬として処方される血糖降下薬の約70%がDPP-4阻害薬とされるわが国では、まれな副作用についても注意が必要である。  GLP-1が胆嚢のmotilityに影響することは以前から知られており、血中GLP-1濃度を上昇させるDPP-4阻害薬が胆道・胆嚢疾患の発症リスクを増大させるのではないかとの懸念は以前からあった。GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドが胆嚢・胆道疾患の発症と関連することはすでに報告されていたが、DPP-4阻害薬について報告がなかった。そこで著者らは、これまでに報告された82のRCTの結果を用いて、DPP-4阻害薬と胆道・胆嚢疾患発症との関連を検討した。

10代女性における不眠症と地中海食との関係

 これまでの研究で、食事の質の低さと睡眠障害との関連が示唆されている。地中海式食事療法は、高品質の食事療法であり、健康全体に対し有益な効果があるといわれている。イラン・Shahid Sadoughi University of Medical SciencesのZahra Yaghtin氏らは、思春期女性における地中海式食事パターンのアドヒアランスと不眠症スコアとの関連を調査した。その結果、イランの思春期女性では、修正済み地中海式食事スコアのアドヒアランスと不眠症レベルとの間に逆相関が認められた。BMC Nutrition誌2022年6月29日号の報告。