内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:30

HPV感染は男性の生殖機能を損なう可能性

 HPV(ヒトパピローマウイルス)は、ほぼ全例(95%)の子宮頸がんの原因であることから、これまで女性の健康問題と考えられてきた。しかし、男性にもHPVを恐れる理由と予防接種を受けるべき理由のあることが新たな研究で明らかになった。男性が高リスク型のHPVに感染すると、生殖機能が障害される可能性のあることが示されたのだ。国立コルドバ大学(アルゼンチン)化学学部教授のVirginia Rivero氏らによるこの研究結果は、「Frontiers in Cellular and Infection Microbiology」に8月23日掲載された。

β遮断薬長期服用MI既往患者、服薬の中断vs.継続/NEJM

 心筋梗塞既往の患者において、長期β遮断薬治療の中断は継続に対して非劣性が認められなかったことを、フランス・ソルボンヌ大学のJohanne Silvain氏らABYSS Investigators of the ACTION Study Groupが、「Assessment of BetaBlocker Interruption 1 Year after an Uncomplicated Myocardial Infarction on Safety and Symptomatic Cardiac Events Requiring Hospitalization trial:ABYSS試験」の結果、報告した。心筋梗塞後のβ遮断薬による治療については、適切な投与期間は不明である。合併症のない心筋梗塞既往患者において、副作用を軽減しQOLを改善するために、長期β遮断薬治療を中断することの有効性と安全性に関するデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2024年8月30日号掲載の報告。

レビー小体型認知症に対する抗認知症薬の10年間フォローアップ調査

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のHong Xu氏らは、レビー小体型認知症(DLB)に対するコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)とメマンチンの使用が、認知機能、主要心血管イベント、死亡率に及ぼす影響を評価した。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2024年8月23日号の報告。  対象は、スウェーデンの認知症レジストリより抽出したDLB患者1,095例。DLB診断90日以内にChEIまたはメマンチンを開始した場合と抗認知症薬を使用しない場合の認知機能の軌跡、主要心血管イベント、死亡リスクに及ぼす影響を評価した。分析には、治療確率逆重み付けを用いた。

インフルワクチン接種と急性腎障害の関連~高齢者での検討

 インフルエンザワクチン接種後に急性腎障害(AKI)を発症した症例が報告されているが、その関連を示す集団レベルのエビデンスはない。韓国・Ewha Womans UniversityのHaerin Cho氏らによる大規模データベースを用いた自己対照ケースシリーズ研究の結果、インフルエンザワクチンの接種は65歳以上の高齢者のAKIリスク低下と関連することが明らかになった。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌2024年9月号掲載の報告より。  本研究では、韓国疾病管理庁の予防接種登録データと国民健康保険サービスの請求データを組み合わせた大規模データベースが使用された。ワクチン接種時に65歳以上で、2018~19年または2019~20年インフルエンザシーズン(それぞれ9月1日~翌4月30日まで)に、インフルエンザワクチンを1回以上接種し、接種後にAKIで入院した患者が対象。腎疾患の既往がある症例は除外された。

セマグルチドを使用しても自殺リスクは上昇せず

 肥満症治療薬であるGLP-1受容体作動薬のセマグルチドの人気が急上昇する一方で、その潜在的な副作用に対する懸念も高まりを見せている。しかし、新たな研究により、そのような懸念の一つが払拭された。米ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院ペン自殺予防センター所長のGregory Brown氏らによる研究で、セマグルチドの使用により抑うつ症状や自殺念慮、自殺行動のリスクは増大しないことが示されたのだ。セマグルチドを有効成分とするオゼンピックやウゴービを製造するノボ ノルディスク社の資金提供を受けて実施されたこの研究の詳細は、「JAMA Internal Medicine」に9月3日掲載された。  2型糖尿病治療薬として開発されたセマグルチドは、臨床試験で肥満症治療薬としての有効性が明らかにされて以降、大きな注目を集め、今や医師が患者に週1回のセマグルチドの皮下注射を処方することは珍しいことではなくなっている。実際に、2023年には500万人もの米国人がセマグルチドを処方されており、そのような人の10人に4人は体重管理のために同薬を使用しているという。

新たな抗PACAPモノクローナル抗体、片頭痛予防に有効か/NEJM

 片頭痛の新たな治療手段として、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)を標的とするアプローチの開発が進められている。デンマーク・コペンハーゲン大学のMessoud Ashina氏らは「HOPE試験」において、プラセボと比較してLu AG09222(PACAPリガンドに対するヒト化モノクローナル抗体)の単回投与は、4週間後の片頭痛の頻度を有意に減少させたことから、PACAPシグナル伝達の阻害は片頭痛の新たな予防的治療戦略となる可能性があることを示した。研究の成果は、NEJM誌2024年9月5日号に掲載された

心房細動を伴う安定冠動脈疾患、エドキサバン単剤が有効/NEJM

 心房細動と安定冠動脈疾患を有する患者の治療において、直接第Xa因子阻害薬エドキサバンと抗血小板薬による抗血栓薬2剤併用療法と比較してエドキサバン単剤療法は、12ヵ月後の全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、全身性塞栓症、予期せぬ緊急血行再建術、大出血または臨床的に重要な非大出血の複合リスクを有意に低下させることが、韓国・蔚山大学校のMin Soo Cho氏らが実施した「EPIC-CAD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年9月1日号で報告された。

えっ?NEJM?(解説:後藤信哉氏)

心房細動を合併する安定期冠動脈疾患では、過去のランダム化比較試験の結果を考えると多数の抗血栓治療の組み合わせが考えられる。多数の組み合わせの中から抗凝固薬エドキサバン単剤とエドキサバン/抗血小板薬併用の有効性、安全性がオープンラベルのランダム化比較試験にて検証された。試験のエンドポイントは12ヵ月以内の死亡、心筋梗塞、脳梗塞、全身塞栓症、予定されなかった緊急冠動脈インターベンション、重篤な出血の複合エンドポイントであった。血栓・出血を含み、さらにソフトな緊急冠動脈インターベンションも含めてイベントリスクが見掛け上増加している。東アジアの韓国で施行された試験であり、一般的に臨床的なイベントリスクが低い。clinically relevant non major bleedingとany bleedingの数が抗血栓薬併用群で増加していた。

HFpEF/HFmrEFに、フィネレノンが有効/NEJM

 左室駆出率が軽度低下の心不全(HFmrEF)または保たれた心不全(HFpEF)患者の治療において、プラセボと比較して非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノンは、総心不全増悪イベントと心血管系の原因による死亡の複合アウトカムの発生を有意に抑制し、高カリウム血症のリスクが高いものの低カリウム血症のリスクは低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のScott D. Solomon氏らFINEARTS-HF Committees and Investigatorsが実施した「FINEARTS-HF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年9月1日号に掲載された。

JN.1系統対応の次世代mRNA(レプリコン)コロナワクチン、一変承認取得/Meiji Seika

 Meiji Seikaファルマは9月13日のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症に対するオミクロン株JN.1系統に対応した次世代mRNA(レプリコン)「コスタイベ筋注用」について、製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  同社は、2024年5月29日に開催された「第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」にて、2024/25シーズン向けの新型コロナワクチンの抗原構成がJN.1系統に取りまとめられたことを受け、同年5月31日に本剤のJN.1系統に対応したワクチンの日本における一部変更承認申請を行った。