内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:31

えっ?NEJM?(解説:後藤信哉氏)

心房細動を合併する安定期冠動脈疾患では、過去のランダム化比較試験の結果を考えると多数の抗血栓治療の組み合わせが考えられる。多数の組み合わせの中から抗凝固薬エドキサバン単剤とエドキサバン/抗血小板薬併用の有効性、安全性がオープンラベルのランダム化比較試験にて検証された。試験のエンドポイントは12ヵ月以内の死亡、心筋梗塞、脳梗塞、全身塞栓症、予定されなかった緊急冠動脈インターベンション、重篤な出血の複合エンドポイントであった。血栓・出血を含み、さらにソフトな緊急冠動脈インターベンションも含めてイベントリスクが見掛け上増加している。東アジアの韓国で施行された試験であり、一般的に臨床的なイベントリスクが低い。clinically relevant non major bleedingとany bleedingの数が抗血栓薬併用群で増加していた。

HFpEF/HFmrEFに、フィネレノンが有効/NEJM

 左室駆出率が軽度低下の心不全(HFmrEF)または保たれた心不全(HFpEF)患者の治療において、プラセボと比較して非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノンは、総心不全増悪イベントと心血管系の原因による死亡の複合アウトカムの発生を有意に抑制し、高カリウム血症のリスクが高いものの低カリウム血症のリスクは低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のScott D. Solomon氏らFINEARTS-HF Committees and Investigatorsが実施した「FINEARTS-HF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年9月1日号に掲載された。

JN.1系統対応の次世代mRNA(レプリコン)コロナワクチン、一変承認取得/Meiji Seika

 Meiji Seikaファルマは9月13日のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症に対するオミクロン株JN.1系統に対応した次世代mRNA(レプリコン)「コスタイベ筋注用」について、製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  同社は、2024年5月29日に開催された「第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」にて、2024/25シーズン向けの新型コロナワクチンの抗原構成がJN.1系統に取りまとめられたことを受け、同年5月31日に本剤のJN.1系統に対応したワクチンの日本における一部変更承認申請を行った。

この20年間、18~26歳で急増しているがんは?

 過去20年間の生活習慣の変化により、若者ががんの危険因子にさらされる機会が増えている可能性があるが、データベースによる研究報告はない。今回、イタリア・Institute of Biochemistry and Cell Biology, National Council of ResearchのAlessandro Cavazzani氏らが、米国・国立がん研究所のがん登録データベース(SEER22)を用いて、部位別のがん罹患率の2000~20年の傾向を調べたところ、18~26歳の女性における膵がん罹患率の平均年変化率が最も高く、年に10%近く増加していた。BMC Medicine誌2024年9月4日号に掲載。

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、HFmrEFとHFpEFにおける有効性は?/Lancet

 左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者ではステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)により、左室駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)または左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)患者では非ステロイド型MRAにより、心血管死または心不全による入院のリスクが減少することを、英国・グラスゴー大学のPardeep S. Jhund氏らが4つの大規模臨床試験、「RALES試験」「EMPHASIS-HF試験」「TOPCAT試験」「FINEARTS-HF試験」のメタ解析の結果、報告した。MRAはHFrEF患者の入院および死亡を減少させるが、HFmrEFまたはHFpEF患者におけるベネフィットは不明であった。Lancet誌オンライン版2024年9月1日号掲載の報告。

国内初承認のダニ媒介性脳炎ワクチンを発売/ファイザー

 ファイザーは9月13日付のプレスリリースにて、成人および小児におけるダニ媒介性脳炎の発症を予防する国内初の承認ワクチン「タイコバック(R)水性懸濁筋注0.5mL」および「タイコバック(R)小児用水性懸濁筋注0.25mL」(一般名:組織培養不活化ダニ媒介性脳炎ワクチン)を、同日より発売したことを発表した。  本剤は、1970年代にIMMUNO社が開発した不活化ダニ媒介性脳炎ウイルスワクチンで、最初に市販された組織培養由来ダニ媒介性脳炎ワクチン。その後の改良を経て、ダニ媒介性脳炎の流行国を中心に使用されている。ファイザーは、2015年にバクスターから本剤の製造販売承認を承継した。

小児の風邪への食塩水点鼻、有症状期間を2日短縮か/ERS2024

 食塩水は風邪症候群の症状の軽減に用いられることがあるが、小児における有効性は明らかになっていない。そこで、上気道感染症を有する小児に対する高張食塩水の点鼻の有用性を検討する無作為化比較試験「ELVIS-Kids試験」が実施された。その結果、高張食塩水を点鼻することで有症状期間の中央値が2日短縮することが示された2024年9月7~11日にオーストリア・ウィーンで開催された欧州呼吸器学会(ERS International Congress 2024)において、英国・エディンバラ大学のSteve Cunningham氏が報告した。

IGTからの糖尿病発症を4年防げば長期予後が改善する

 耐糖能異常(IGT)該当者が食事・運動療法によって糖尿病未発症の状態を4年間維持できれば、長期予後が改善することを示すデータが報告された。ただし、未発症期間が4年よりも短い場合、この効果は得られないという。中国医学科学院・北京協和医学院(中国)のXin Qian氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS Medicine」に7月9日掲載された。  IGTなどの糖尿病予備群の状態から生活習慣を改善し糖尿病発症を防ぐことで、将来の合併症リスクが低下することは、既に複数の研究によって示されている。しかし、糖尿病発症を何年先延ばしにすればそのような効果を期待できるのかは、これまで明らかにされていない。そこでQian氏らは、中国・大慶市(Da Qing)在住のIGT該当者に対する6年間の食事・運動介入による糖尿病抑制効果を検討した「大慶糖尿病予防研究(DQDPS)」のデータを事後解析し、この点を検討した。

仕事のストレスで心房細動に?

 職場で強いストレスにさらされていて、仕事の対価が低いと感じている場合、心房細動のリスクがほぼ2倍に上昇することを示す研究結果が報告された。ラヴァル大学(カナダ)のXavier Trudel氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に8月14日掲載された。  心房細動は不整脈の一種で、自覚症状として動悸やめまいなどを生じることがあるが、より重要な点は、心臓の中に血液の塊(血栓)が形成されやすくなることにある。形成された血栓が脳の動脈に運ばれるという機序での脳梗塞が起こりやすく、さらにこのタイプの脳梗塞は梗塞の範囲が広く重症になりやすい。

アルツハイマー病患者における第2世代抗精神病薬関連有害事象

 アルツハイマー病(AD)は、記憶障害、認知機能障害、神経精神症状などを引き起こす神経変性疾患である。ADの神経精神症状のマネジメントでは、第2世代抗精神病薬(SGA)が頻繁に使用されるが、AD患者に対するSGAの安全性プロファイルについては、詳しく調査する必要がある。中国・福建医科大学のJianxing Zhou氏らは、米国FDAの有害事象報告システム(FAERS)のデータベースより、薬物有害反応(ADR)を分析し、AD患者におけるSGAの安全性を評価した。The Annals of Pharmacotherapy誌オンライン版2024年8月20日号の報告。  2014~23年のFAERSデータを包括的に分析し、リスペリドン、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、アリピプラゾールなどのSGAで治療されたAD患者のADRに焦点を当て評価を行った。Bayesian confidence propagation neural network(BCPNN)、ワイブル分析、PBPKモデルを用いて、記述的、不均衡性、時間、用量について分析を実施した。