内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:32

小林製薬サプリ摂取者、経過観察で注意すべき検査項目・フォローの目安

 小林製薬が販売する機能性表示食品のサプリメント『紅麹コレステヘルプ(以下、サプリ)』による腎機能障害の発生が明らかとなってから約2週間が経過した。先生の下にも本サプリに関する相談が寄せられているだろうか。日本腎臓学会が独自で行った本サプリと腎障害の関連について調査したアンケートの中間報告から、少しずつサプリ摂取患者の臨床像が明らかになってきている。

初診で死亡を確認、死亡診断書を書くための条件を明記-厚労省「死亡診断書記入マニュアル」

 厚生労働省は、毎年策定している「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」の令和6年度版を公開した。主な改訂点として、生前に診療を担当していなかった医師が死亡診断書を記載する場合の条件が明記された。また、死亡診断書および死体検案書の取り扱いに関するQ&Aもホームページに公開されている。  今回の改訂により、「別にかかりつけ医がいる患者が心肺機能停止で病院に搬送され、初診で死亡を確認したとき」や「連携する別の医師が訪問診療を行っていた患者が死亡し、死後診察を行ったとき」など、患者の生前に診療を担当していなかった医師であっても、以下の3条件をすべて満たす場合には、死亡診断書を交付できることが新たに明記された。

うつ病における疼痛症状と抗うつ薬の治療結果~系統的レビューとメタ解析

 うつ病患者では、疼痛を伴う身体症状がみられることが多い。うつ病患者における疼痛を伴う身体症状は、抗うつ薬治療効果の低下と潜在的に関連している。中国・北京大学のJia Jia Liu氏らは、ベースライン時の疼痛レベルと抗うつ薬治療効果との関連を評価した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2024年3月13日号の報告。  事前に登録したプロトコールに基づき、2023年2月までに公表された研究をPubMed、Embase、Cochrane Libraryのデータベースより検索した。うつ病患者のうち、抗うつ薬治療反応患者/寛解患者および非治療反応患者/非寛解患者における治療前の疼痛対策を報告したオリジナル研究を含めた。データ抽出と品質評価は、2人の独立したレビュー担当者によりPRISMAに従い実施した。主要アウトカムは、抗うつ薬治療反応患者/寛解患者と非治療反応患者/非寛解患者の間での治療前の疼痛レベルの差とした。ランダム効果メタ解析を用いてエフェクトサイズ(Hedge's g)を算出し、サブグループ解析とメタ回帰分析を用いて不均一性の原因を調査した。

日本人高齢者、高感度CRPと認知症が関連

 血清高感度C反応性蛋白(CRP)とアルツハイマー病などの認知症との関連についての報告は一貫していない。今回、愛媛大学の立花 亜由美氏らが全国8地域の高齢者約1万人を調査したところ、血清高感度CRP値の上昇が認知症全体やアルツハイマー病と関連し、側頭皮質萎縮のリスクの増加とも関連することが示唆された。Scientifc Reports誌2024年3月28日号に掲載。

高齢入院患者のせん妄、認知症リスクが増加/BMJ

 認知症がなく、せん妄のエピソードを少なくとも1回経験している65歳以上の入院患者が初発の認知症の診断を受けるリスクは、せん妄のない患者のほぼ3倍に達し、せん妄のエピソードが1回増えるごとにリスクが20%増加することが、オーストラリア・クイーンズランド大学のEmily H. Gordon氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号で報告された。  研究グループは、認知症のない高齢患者におけるせん妄と認知症発症との関連を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。

CKDへの適応が追加されたエンパグリフロジンへの期待/ベーリンガーインゲルハイム・リリー

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)に、2024年2月、慢性腎臓病(CKD)の適応が追加された。この適応追加に関連して日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、プレスセミナーを共同開催した。セミナーでは、CKDの概要と最新治療、エンパグリフロジンのCKDに対するEMPA-KIDNEY試験の結果などについて講演が行われた。  はじめに「慢性腎臓病のアンメットニーズと最新治療」をテーマに岡田 浩一氏(埼玉医科大学医学部腎臓内科 教授)が講演を行った。  腎炎、糖尿病、高血圧、加齢など腎疾患の原因はさまざまあるが、終末期では末期腎不全となり透析へと進展する。この腎臓疾患の原因となる病気の発症から終末期までを含めてCKDとするが、CKDの診療には次の定義がある。

市中肺炎、12%が「不適切な診断」

 市中肺炎は一般的な疾患だが、診断の正確性とそれに関連する有害性についてはあまり知られていない。米国ミシガン大学・アナーバー校のAshwin B. Gupta氏らは市中肺炎の不適切な診断の特徴を明らかにすることを目的に、前向きコホート研究を行った。この結果はJAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年3月25日号に掲載された。  ミシガン州の48の病院で、市中肺炎を理由に入院し、入院1日目または2日目に抗菌薬投与を受けた成人患者を対象とした。調査は2017年7月1日~2020年3月31日にカルテレビューおよび患者への電話連絡で実施され、データ解析は2023年2~12月に行われた。

米国頭痛学会声明、片頭痛に対するCGRP標的療法の位置付け

 これまで第1選択治療として考えられてきたすべての片頭痛の予防的治療は、他の適応症のために開発され、その後片頭痛予防にも採用されている。これらの治療法は、有効性および忍容性の問題によりアドヒアランス低下が懸念されていた。前臨床および臨床エビデンスよりカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が片頭痛発症に重要な役割を果たしていることが示唆され、いくつかの片頭痛特異的な治療法が開発された。これらのCGRPをターゲットとした治療法は、片頭痛のマネジメントに革新的な影響を及ぼしたものの、第1選択治療として広く普及しているとはいえない。米国・UCLA Goldberg Migraine ProgramのAndrew C. Charles氏らは、米国頭痛学会から表明された片頭痛予防に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をターゲットとした治療法に関する最新情報を報告した。Headache誌オンライン版2024年3月11日号の報告。

約20年ぶりの下部尿路症状の疫学調査、その結果は?

 本邦では、2002年に下部尿路症状(LUTS)に関する初めての疫学調査が実施され、過活動膀胱(OAB)の有病率などが報告された。当時の調査の結果では、40歳以上の男女のうち12.4%がOABに該当するとされ、加齢に伴いその割合は高くなったと報告されていた。また、40歳以上でOAB症状を有する人は、全国で約1,000万人と推計されていた。それ以降は本邦で大規模な疫学調査は行われていなかったが、日本排尿機能学会の前身である神経因性膀胱研究会が発足されてから50年の節目となる2023年において、現在の日本国内のLUTSの有病率と日常生活への影響を明らかにすることを目的として約20年ぶりの疫学調査が実施された。その結果は山梨大学の三井 貴彦氏らにより、International Journal of Urology誌オンライン版2024年3月21日号で報告された。

断酒から“減酒”へ、アルコール依存症の新たな治療戦略

 アルコール依存症やアルコールによる健康障害を回避するためには断酒・禁酒が推奨されてきたが、昨今の風潮ではアルコール依存症の治療でも重症度によっては「減酒」が第一歩となる。なぜ、断酒・禁酒ではなく減酒なのか。株式会社CureAppが主催した『減酒治療に関するメディアラウンドテーブル』では、治療法の時代変遷とそれに基づく減酒アプリ(現在、製造販売承認申請中)の実用化について、宋 龍平氏(減酒治療アプリプロジェクトリーダー/岡山県精神科医療センター臨床研究部 医師)が解説した。