内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:298

機能性消化管疾患診療ガイドライン2020―新薬・エビデンス続々、心理的ケアの認知高まる

 4人に1人―、これがわが国の機能性消化管疾患の現状と見られている。機能性消化管疾患は、過敏性腸症候群(IBS)のほか、IBS関連疾患群(機能性便秘、機能性下痢、機能性腹部膨満)を含む。中でも、IBSは消化器内科受診者の約3割を占めるという数字もあり、社会的関心は確実に高まっている。今年6月に発刊された『機能性消化管疾患診療ガイドライン2020』(改訂第2版)は、2014年の初版以来の改訂版。新薬に加え、既存製剤についてもエビデンスの蓄積により治療可能性が広がっているほか、疾患研究の進展により、病態に関与する生物学的要因や心理社会的因子などを総合的にとらえる概念としての「脳腸相関」の重要性がさらに明確になったことを裏付ける項目もある。ガイドライン作成委員長を務めた福土 審氏(東北大学行動医学分野・心療内科)に、改訂のポイントについてインタビューを行った(zoomによるリモート取材)。

高LDL-C値の70歳以上、心筋梗塞・アテローム性心血管疾患リスク増大/Lancet

 非アテローム性心血管疾患・非糖尿病・スタチン非服用で、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールが上昇した70~100歳集団は、心筋梗塞やアテローム性心血管疾患イベントの絶対リスクが最も高いことが、デンマーク・オーフス大学病院のMartin Bodtker Mortensen氏らが行った、同国一般住民を対象とした大規模コホート試験「Copenhagen General Population Study(CGPS)」で明らかにされた。一方で、同70~100歳集団は、同イベントの発症を5年間で1件予防するための必要治療数(NNT)が最も低いことも示された。著者は、「本試験のデータは、増え続ける70~100歳集団の心筋梗塞およびアテローム性心血管疾患の負荷を軽減するために必要な予防戦略にとって重要なものである」と述べている。先行研究では、70歳以上のLDLコレステロール値上昇は同イベント発症リスク増大と関連していないとされていた。Lancet誌2020年11月21日号掲載の報告。

新型コロナ、感染6ヵ月後も抗ウイルス抗体・中和抗体を保有/横浜市立大

 『新型コロナウイルス感染症回復患者専用抗体検査PROJECT』を立ち上げていた横浜市立大学の山中 竹春氏率いる研究グループは、12月2日に行った「新型コロナウイルス感染 6ヵ月後における抗ウイルス抗体保有および中和抗体保有調査に関する中間報告」の記者会見で、感染症回復者のほとんどが6ヵ月後も抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していることを明らかにした。  日本初の国内最大規模の回復者データに基づく本研究は、COVID-19 回復者の一定期間後の追跡調査として『コロナ回復社専用抗体検査PROJECT』で参加者を募集。8~9月に617名の参加希望者が集まり、そのうち10月26日までに採血して検体測定を完了した376例のデータを解析した。今回の中間報告では、抗体保有率のほか、COVID-19回復者のうち、酸素投与を要した中等症・重症例のほうが軽症例よりも中和活性が高い傾向であることも示唆された。

日本初の原発性腋窩多汗症治療薬が登場

 2020年11月20日(金)に科研製薬株式会社主催のオンラインプレスセミナーが開催され、東京医科歯科大学皮膚科 主任教授の横関 博雄氏から腋窩多汗症の最新治療について語られた。  横関氏は9月に承認されたソフピロニウム臭化物について、「日本初の原発性腋窩多汗症治療に対する外用薬であり、同疾患で初めて保険適用となった薬剤である。副作用も少なく治療の第1選択として期待できる」と述べた。  従来の薬物療法は効果も限定的で副作用が多く、患者さんのQOL低下につながることもあったが、本薬剤の登場により、治療選択の幅が広がることが期待される。

SGLT2阻害薬フォシーガ、日本で慢性心不全の承認取得/AZ・小野

 選択的SGLT2阻害薬フォシーガ(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)について、標準治療を受けている慢性心不全に対する追加承認を、2020年11月27日に取得したことをアストラゼネカと小野薬品工業が発表した。慢性心不全治療薬として国内で最初に承認されたSGLT2阻害剤となる。本承認は、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)を対象とした第III相DAPA-HF試験の結果に基づく。添付文書の「効能又は効果に関連する注意」には、左室駆出率が保たれた慢性心不全(HFpEF)における本薬の有効性及び安全性は確立していないため、HFrEFに投与する旨、記載されている。

約6割が第3波の原因はGo to関係と回答/アイスタット

 冬の到来を迎え新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、いわゆる「第3波」への対応が早急に模索されるとともに、全国的な感染患者、陽性者の増加が懸念されている。  株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、11月24日に「COVID-19 第3波に関するアンケート調査」を行った。 アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”に登録している会員で20歳以上の会員300人を対象に調査を実施したもの。  同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。

感染経路が不明なCOVID-19症例は診断が遅れやすい/日本での調査

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の診断の大きな遅れ(long diagnostic delays:LDD)は、その後の患者隔離の効果が減少する可能性がある。わが国では当初、軽症の場合は発症から4日間待機という基準が示されたことから、茨城県土浦保健所の緒方 剛氏らは、曝露経路が不明なCOVID-19症例ではLDDが大幅に増加したと想定し、COVID-19症例のLDDの割合と曝露経路検出の関連を調査し報告した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌オンライン版2020年11月21日号に掲載。

スタチン+降圧薬のポリピル、アスピリン併用で心血管イベント抑制/NEJM

 心血管疾患がなく、中等度以上の心血管リスクを有する集団において、スタチンと3つの降圧薬の合剤であるポリピル(polypill)とアスピリンの併用療法はプラセボ+プラセボと比較して、心血管イベントの発生率が約3割低いことが、カナダ・マックマスター大学のSalim Yusuf氏らが行ったTIPS-3試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年11月13日号に掲載された。世界では毎年、心血管疾患による死亡が約1,800万件発生しており、その80%以上を低~中所得国が占めるという。血圧上昇とLDLコレステロール値上昇は、心血管疾患の最も重要な修正可能なリスク因子であり、降圧薬と脂質低下薬を組み合わせたポリピルが有益な可能性が示唆されている。一方、アスピリンは、心血管疾患患者に対する有用性が証明されているが、心血管疾患の1次予防における単独での役割、あるいはポリピルに含まれる1剤としての役割は明らかにされていない。

高齢者でも積極的なコレステロール低下治療が有用だが個別的治療は常に念頭に置くべき(解説:桑島巌氏)-1323

本論文は24の大規模臨床試験における75歳以上の高齢者2万1,492例について、コレステロール治療と心血管合併症リスク低下との関連をメタ解析した成績である。結果から言うと、75歳以上の高齢者でも若・中年者同様にコレステロール値は下げたほうが心筋梗塞、脳卒中などの心血管イベントリスクは有意に低下するという結果であった。LDLコレステロール値を1mmol/L(38.67mg/dL)下げると心血管イベント低下率は26%で75歳未満の低下率15%と差がないという結果は、高齢者でもコレステロールの高い症例では心血管イベントは抑制できることを明瞭に示した。

家族構成とうつ病との関係

 配偶者またはパートナーや子供の人数などの家族構成と生涯うつ病有病率との関連を、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのAlexandros Giannelis氏らが調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年10月10日号の報告。  中高年を対象としたプロスペクティブ研究であるUKバイオバンクのデータを使用した。生涯うつ病は、フォローアップ時のメンタルヘルス関連の質問票の一部を用いて評価した。家族構成とうつ病との関連は、ロジスティック回帰を用いて推定した。うつ病の多遺伝子性リスクスコア(polygenic risk score)を含む社会的、人口統計学的およびその他の潜在的な交絡因子で調整を行った。