内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:413

健康高齢者への低用量アスピリン、無障害生存期間を延長せず/NEJM

 健康な高齢者に対する低用量アスピリン投与は、プラセボ投与と比較して、無障害生存期間を延長することはなく、大出血の頻度を増加することが示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らが、米国およびオーストラリアの計50施設にて約2万例を対象に実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ASPREE試験」の結果を報告した。本試験は、主要評価項目に関してアスピリンの使用継続が有益ではないことが認められたため、追跡期間中央値4.7年で早期終了となっている。アスピリンの医学的適応がない高齢者において、低用量アスピリンの使用が増加しているが、健康な高齢者の健康寿命を延ばすためのアスピリン使用に関する情報は限定的であった。NEJM誌オンライン版2018年9月16日号掲載の報告。

禁煙のための電子タバコ、ニコチン依存症での役割

 電子タバコ(電子ニコチン送達システム:ENDS)は、若者の間で一般的なタバコ製品となりつつある。電子タバコには、有害物質の低減や禁煙に効果的であるとのエビデンスもあるが、議論の余地は残っている。電子タバコが、ニコチン依存者の喫煙の減少や禁煙に対してどのように寄与するかは、ほとんど知られていない。米国・ノースダコタ大学のArielle S. Selya氏らは、ニコチン依存症に対する電子タバコの有効性について検討を行った。Nicotine & Tobacco Research誌2018年9月4日号の報告。

健康な高齢者へのアスピリンのCVD1次予防効果は?/NEJM

 健康な高齢者への1次予防戦略としての低用量アスピリンの使用は、プラセボと比較して、大出血リスクを有意に増大し、心血管疾患リスクを有意に減少しないことが示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループによる、米国とオーストラリアに住む高齢者1万9,114例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で発表された。アスピリン治療では、心血管疾患の2次予防効果は確立されている。しかし、その1次予防効果は明確になっておらず、とくに同疾患リスクが高い高齢者において不明であった。

アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJM

 毎日アスピリンの投与を受けた健康な高齢者の死亡率は、プラセボと比較してむしろ高く、しかも主な死因はがん関連死であるとする予想外の研究結果が示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループが、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で報告した。本研究の初回解析では、アスピリンの毎日使用は、主要エンドポイントである無障害生存(disability-free survival)に関して便益をもたらさなかった。また、アスピリン使用者は、副次エンドポイントである全死因死亡率も高かったという。

高齢者でもスタチンは投与すべきなのか?(解説:平山篤志氏)-923

今後多くの先進国は、高齢化社会を迎える。とくにわが国は高齢化率が著しく、諸外国に先駆けて数多くの未知なる諸問題に対処してゆかねばならない。その1つにEvidence Based Medicineがある。医学の世界では、EBMに基づいてガイドラインが作成され、治療に対応している。EBMとして最もエビデンスレベルが高いとされるのは、Randomized Control Trial(RCT)で得られた結果である。だが、多くの場合RCTでは高齢者が除外されているか、また含まれていても数が少ないため十分なEBMを得ることができていない。RCTでは少数であっても実臨床では数多い高齢者についての情報を得るために、近年はReal World Evidenceということが注目されるようになり、電子カルテベースのデータや保険会社のデータ、あるいはレジストリー研究からの結果が出されるようになっている。

「スタチン不耐に関する診療指針2018」で治療中断を食い止める

 スタチンは心筋梗塞をはじめ、動脈硬化によって生ずる心血管イベントを予防するためには必要不可欠であると、日本人を含むさまざまなデータにおいて報告がある。しかし、その服用継続が困難な「不耐」については日本人のデータが確立していないどころか、適切なLDLコレステロール低下療法が実践されているのかさえ不明瞭である。2018年9月26日、日本動脈硬化学会主催のプレスセミナー「スタチン不耐について」が開催され、梶波 康二氏(金沢医科大学循環器内科学主任教授/スタチン不耐ワーキンググループ委員長)が登壇し、スタチン不耐に関する診療指針2018作成の経緯について語った。

コーヒーとワインの摂取量、アルコール性肝疾患死亡と逆相関

 ノルウェーの男女約22万人の調査で、コーヒーとワインの摂取量がアルコール性肝疾患死亡と逆相関することが示された。また、総アルコール摂取量はアルコール性肝疾患死亡と正の相関を示したが、その関連の強さはコーヒー摂取量で変化することをノルウェー公衆衛生研究所のAage Tverdal氏らが報告した。Annals of Epidemiology誌オンライン版2018年8月28日号に掲載。

喫煙が日本人労働者の死亡率に及ぼす影響

 わが国の職域多施設研究(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study:J-ECOHスタディ)で、労働人口における喫煙・禁煙の死亡率への影響を調べたところ、喫煙が全死亡・心血管疾患(CVD)死亡・タバコ関連がん死亡のリスク増加と関連していた。また、この死亡リスクは禁煙後5年で減少していた。Circulation Journal誌オンライン版2018年9月12日号に掲載。

乳製品摂取増加が死亡・心血管リスク低下と関連/Lancet

 低・中所得国21ヵ国を対象とした多様な多国籍コホート研究において、乳製品の摂取が、死亡および主要心血管疾患イベントの低下と関連することが明らかにされた。カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、Lancet誌オンライン版2018年9月11日号で発表した。全脂肪乳製品は飽和脂肪の源であり、血液脂質に悪影響を与え、心血管疾患や死亡を増大すると思われているが、この懸念に関するエビデンスは弱く、また、これまで低所得国および中所得国の健康への乳製品消費の影響に関するデータはほとんど入手できていなかったという。

スタチンによる高齢者のCVイベント1次予防 DM vs.非DM/BMJ

 スタチンは、非2型糖尿病の75歳以上の高齢者の1次予防では、アテローム動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡を抑制しないのに対し、2型糖尿病の75~84歳の高齢者の1次予防では、これらの発生を有意に低減することが、スペイン・ジローナ大学のRafel Ramos氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年9月5日号に掲載された。スタチンは、75歳以上の高齢者の2次予防において、心血管イベントや心血管死の抑制効果が確立されており、最近の数十年で高齢者への処方が増加しているが、とくに85歳以上の高齢者の1次予防における有効性のエビデンスは不十分だという。