内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:414

COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニドで改善、国内3症例の詳細

 国内における新型コロナウイルス感染症の患者を多く出したダイヤモンドプリンセス号。患者の一部について治療に当たった神奈川県立足柄上病院は3月2日、喘息治療の第1選択薬である吸入ステロイド薬のシクレソニドの投与により症状が改善した3例について、日本感染症学会のホームページにその詳細を報告した。いずれもCOVID-19による酸素化不良やCT所見などが見られたが、薬剤投与により良好な経過を得ているという。

慢性呼吸器疾患死が世界的に増加、死亡率は低下/BMJ

 1990~2017年の期間に、慢性呼吸器疾患による年間総死亡数は18%増加したが、年齢標準化死亡比は年間2.41%低下し、社会人口統計学的特性(SDI)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)、塵肺症、喘息による死亡率との間には負の相関がみられ、SDIが低い地域は疾病負担が多大であることが、中国・華中科技大学のXiaochen Li氏らによる195の国と地域のデータの解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年2月19日号に掲載された。慢性呼吸器疾患による死亡や健康損失に関するこれまでの研究は、限られたデータに基づいており、地域も限定的だという。

「屋内の閉鎖的空間でクラスター発生か」新型コロナ専門家会議が見解

 新型コロナウイルス感染症を巡り、国の専門家会議(座長:脇田 隆字 国立感染症研究所所長)は3月2日、厚生労働省の対策本部が分析した内容に基づき現時点の見解をまとめた。国内では、これまで感染者が出ていなかった自治体においても日々新たな感染者が確認され、拡大傾向が続いていると見られる。見解では、北海道のデータ分析などにより、重症化する割合が低い若年層から多くの中高年層に感染が及んでいること、屋内の閉鎖的な空間における濃厚接触が、クラスターの発生および感染の急速な拡大を招く一因になっていることなどを挙げた。

退院後に陽性のCOVID-19症例、CTに悪化みられず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した患者の一部にウイルスキャリアの可能性が示唆されたー。中国・武漢大学中南医院のLan Lan氏らは、中国で退院または隔離解除の基準を満たしたCOVID-19の4症例(臨床症状とCT異常所見の消失、およびRT-PCR法による検査で2回とも陰性)が、退院・隔離解除5〜13日後にRT-PCR検査で陽性になったことを明らかにした。JAMA誌オンライン版2020年2月27日号のリサーチレターに報告した。

COVID-19、無症状でもCTに異常、急速な進行も

 武漢の病院に入院したCOVID-19肺炎患者の胸部CT画像の所見と変化について、華中科技大学放射線科のHeshui Shi氏らがまとめた研究結果が発表された。疾患経過における複数時点でのCT所見を分析した結果、無症状の患者であってもCT画像には異常が認められ、1〜3週間以内に急速に進行するケースが示された。著者らは「CT画像と臨床および検査所見を組み合わせることで、COVID-19の早期診断が容易になるだろう」と述べている。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2月24日号掲載の報告。  研究者らは、2019年12月20日~2020年1月23日に武漢の2病院に入院し、胸部CTによる経過観察が行われた81例(RT-PCR法あるいは次世代シーケンシングによる確定例)を遡及的に登録。

喫煙者の高い認知症リスク、禁煙3年で軽減~大崎コホート研究

 禁煙と認知症リスクの変化について米国のARIC研究の結果が報告されているが、今回、東北大学のYukai Lu氏らが、日本の前向き研究である大崎コホートにおける縦断的分析の結果を報告した。本研究では、3年以上禁煙した場合、認知症発症リスクは非喫煙者と同じレベルまで低下することが示唆された。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2020年2月15日号に掲載。本研究の対象は65歳以上の日本人1万2,489人で、5.7年間追跡調査を実施した。2006年に喫煙状況およびその他の生活習慣の情報を質問票にて収集した。認知症発症に関するデータは、公的介護保険のデータベースから取得した。Cox比例ハザードモデルを使用し、認知症の多変量調整ハザード比(HR)および95%信頼区間(95%CI)を推定した。

multimorbidity評価に利用可能な指標は?/BMJ

 慢性疾患が2つ以上併存する多疾患罹患(multimorbidity)の患者が一般的にみられるようになっているが、この多疾患罹患を評価する指標は、研究者と臨床医でさまざまに異なっている。英国・エディンバラ大学のLucy E. Stirland氏らは、システマティックレビューにて多疾患罹患を評価する指標の特定などを行った結果、異なる項目とアウトカムから構成される35の指標が利用可能であることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「研究者と臨床医は、新たな指標を作成する前に、既存の指標の適合性を検証する必要があるだろう」と述べている。BMJ誌2020年2月18日号掲載の報告。

COVID-19への治療薬の考え方/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博)は、今般の新型コロナウイルスの治療に関し、「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」を2月26日に公開した。  本指針は、現時点で収集されている知見より抗ウイルス薬に関するわが国における暫定的な指針を示すのが目的。そして、抗ウイルス薬の使用にあたっては、現在わが国ではCOVID-19に適応を有する薬剤は存在しないことを前提に、行うことのできる治療は、国内ですでに薬事承認されている薬剤を適応外使用することであり、使用では各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行うことになるとしている。

意識が飛ぶほどの痛みも。診断に数年かかった身近な疾患

 とくに日本において、病気としての社会的認知度が極めて低く、「さぼっている」「精神的なもの」というレッテルを貼られがちな疾患がある。女性の12.9%、男性の3.6%が抱える神経性の疾患でありながら、その認識の低さにより受診率が低く、患者の半数以上が市販の鎮痛薬にのみ頼っている。1月29日、「『健康経営』の新たな視座 働き世代の女性が苦しむ片頭痛への理解」と題したメディアセミナー(主催:日本イーライリリー)が開催された。本稿では、坂井 文彦氏(埼玉国際頭痛センター)、五十嵐 久佳氏(富士通クリニック)のほか、女性患者による講演の内容をレポートする。

新型コロナウイルス感染の家族内感染クラスター事例(解説:浦島充佳氏)-1194

一番注目するべきは、どこで感染したか明確にトレースできない患者が含まれる点と、発症直後より感染力を有する点である。SARSのときは、誰からどこで感染したということがほぼすべてのケースで同定できた。また、SARS患者は発症して5日目より感染力を増す傾向にあった。そのためSARS患者を4日以内に入院隔離すれば感染拡大を阻止し、封じ込めることができる。実際、発熱から入院までが平均3日となった時点より患者発生数が減り始めている。しかし、中国の対策チームは「新型コロナウイルスは潜伏期間にも感染させる可能性がある」と発表した。