内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:418

新型コロナウイルスのゲノムの特徴/Lancet

 2019年12月に中国・武漢市で患者が報告され、その後、病原体として同定された新型コロナウイルス(2019-nCoV)について、中国疾病予防管理センターのRoujian Lu氏らがゲノム配列を調べた。その結果、2019-nCoVはSARS-CoVとは異なり、ヒトに感染する新たなβコロナウイルスと考えられた。系統解析では、コウモリがこのウイルスの最初の宿主である可能性が示唆されたが、武漢市の海鮮卸売市場で販売されている動物はヒトでのウイルス出現を促進する中間宿主である可能性が示された。さらに構造解析から、2019-nCoVがヒトのアンジオテンシン変換酵素(ACE)2受容体に結合できる可能性が示唆された。Lancet誌オンライン版2020年1月30日号に掲載。

日焼け止めの有効成分6種、体内吸収後に血中へ/JAMA

 4つの形態の日焼け止め製品に含まれる6種の有効成分について、いずれも体内に吸収されて血中に移行し、さらなる安全性研究に進む基準となる米国食品医薬品局(FDA)の最大血漿中濃度閾値(0.5ng/mL)を上回ることが、米国・FDAのMurali K. Matta氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年1月21日号に掲載された。FDAによる既報のパイロット研究では、日焼け止めの4種の活性成分(アボベンゾン、オキシベンゾン、オクトクリレン、エカムスル)の体内吸収が報告されている。他の活性成分の体内吸収を確認するとともに、FDAの基準値である0.5ng/mLを上回る迅速な体内曝露を評価する研究が求められていた。

お酒飲みの皆さん、1日1合少しのお酒までやめられますか?(解説:野間重孝氏)-1180

飲酒と心房細動の有病率は古くから研究されており、種々の疫学調査により過量飲酒が心房細動の有病率を上昇させることが証明されている。最近のFramingham Studyでは3 drink/日以上の飲酒で心房細動の危険性が増すことが報告されている(相対危険度1.34)。わが国での疫学調査でもエタノール46~69g/日で相対危険度1.36、それ以上では相対危険度2.90と、用量依存性に心房細動の有病率が上昇することが報告されている(Sano F, et al. Circ J. 2014;78:955-961.)。ちなみに海外の疫学ではdrinkという単位が用いられることが多く、これはアルコール12gを表す。日本で用いられる単位の1単位は20gでこれは大体日本酒で1合、ビールで500mLに相当する。本論文で取り扱われている16~17 drink/週程度とは、日本酒で1升、ビールで500mL缶10本程度ということになる。興味深いことは、日本人はアルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素の活性が欧米人に比して低いことが知られているが、一連の疫学研究でわが国と欧米との間に著しい差異は認められないことである。

新型コロナウイルス、推計感染者数は約7万6,000人か/Lancet

 中国湖北省・武漢市で発生し、急速に拡大している新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症を巡り、中国・香港大学李嘉誠医学院のJoseph T Wu氏ら研究グループは、2019年12月以降の感染の広がりについて予測。1月25日時点で、武漢市および周辺都市における感染者数は約7万6,000人に上ると見られる推計値を発表した。なお、中国保健当局が2月4日付で公表した中国国内の感染者数は約2万400例で、本研究の推計値とは3倍超の大きな開きがある。Lancet誌オンライン版1月31日号掲載の報告。

レビー小体型認知症の認知機能低下~アルツハイマー病との比較

 レビー小体型認知症(DLB)患者は、アルツハイマー病(AD)患者と比較し、認知機能低下がより速いといわれている。しかし、この認知機能低下の変動の違いについては、あまり注目されていなかった。ノルウェー・Haraldsplass Deaconess HospitalのLasse Melvaer Giil氏らは、DLB患者とAD患者の認知機能低下の違いについて検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年1月2日号の報告。  このDemVest研究では、軽度認知症患者222例(AD患者137例、DLB患者85例)を対象に、ベースラインから5年間のミニメンタルステート検査(MMSE)を実施し、評価を行った。学習年数、年齢、性別、診断を独立変数として、ベースラインでのMMSEの変動およびMMSE低下の変動性を評価するため、線形混合モデルを用いた。

腎交感神経除神経術は心房細動アブレーション治療のオプションか?(解説:冨山博史氏)-1172

本試験は、高血圧合併発作性心房細動症例に対して、発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション単独治療と、アブレーション治療に腎交感神経除神経術を加えた併用治療のいずれが介入後の発作性心房細動再発抑制に有用であるかを検証したmulticenter、single-blind、randomized clinical trialである。主評価項目は、介入後12ヵ月の心房性頻脈再発率と降圧度である。登録された302例中、283例にて試験が遂行された。12ヵ月後に心房性頻脈を認めない症例数は、アブレーション治療単独では148例中84例(56.5%)、アブレーション治療+腎交感神経除神経術併用では154例中111例(72.1%)であった(ハザード比0.57、p<0.01)。さらに降圧の度合いも併用群で有意に大きかった(両群の収縮期血圧降圧の差13mmHg)。

治療方針が明確に、「皮膚真菌症診療ガイドライン2019」

 2019年12月、日本皮膚科学会は「皮膚真菌症診療ガイドライン」を10年ぶりに改訂した。日本において、真菌感染症のなかでも、足白癬の有病率は人口の約21.6%、爪白癬では10.0%と推計される。この10年間に外用剤(クリーム、液剤、スプレー)や新たな内服薬が発売され、治療状況も変化しつつあるため、改訂した皮膚真菌症診療ガイドラインのポイントを紹介する。  皮膚真菌症診療ガイドライン2019によれば、“保険診療上認められていない治療法や治療薬であっても、すでに本邦や海外において医学的根拠のある場合には取り上げ、推奨度も書き加えた。保険適用外使用についても記載した”と記され、各疾患の治療についてはClinical question(CQ)が設定されている。

高齢患者に対するスボレキサントの安全性と有効性~使用成績調査のサブ解析

 スボレキサントの第III相国際共同試験において、高齢患者と非高齢患者との間で、スボレキサントの安全性および有効性プロファイルに明らかな変化は認められなかった。しかし、日常診療でみられる併存疾患を有する高齢患者に対して、スボレキサントの臨床プロファイルは評価されていなかった。MSD株式会社の竹内 裕子氏らは、日常診療での高齢不眠症患者に対するスボレキサントの安全性および有効性プロファイルをより明らかにするため、市販後の使用成績調査のサブグループ解析を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2019年12月20日号の報告。