内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:489

日本人の死因の約6割を占めるNCD関連疾患、改善のカギは…

 不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒…。これらは、さまざまな疾患の入り口になりうる悪しき生活習慣だが、その改善により予防可能な疾患の総称であるNCD(non-communicable diseases、WHOの定義では「非感染性疾患」)への関心が世界的に高まっている。5月31日、NCD関連疾患の啓発や情報提供を行っている塩野義製薬株式会社が、国内のNCD関連疾患患者を対象にした実態調査の結果をまとめた。同日のセミナーに登壇した寺本 民生氏(帝京大学臨床研究センター)は、患者自身の疾患や治療に関するリテラシーの低さを指摘し、「前向きな治療意識と生活満足度が疾患コントロール意識と密接につながっている。医療従事者や家族、地域コミュニティの関わりなども含めたトータルケアが重要」と述べた。

食塩高摂取でイベントリスクが増大するのは高血圧者のみ/Lancet

 ナトリウム(Na)摂取と心血管イベント・死亡リスクとの関連を調べた結果、高血圧の人においてのみ、Na摂取量が多い人は適量摂取の人と比べて同リスクの増大がみられた。正常血圧の人ではそうした関連はみられず、また、Naの低量摂取は高血圧の有無にかかわらず同リスクを増大するとの結果が示されたという。カナダ・Hamilton Health SciencesのAndrew Mente氏らが、4つの大規模な前向き試験(PURE、EPIDREAM、ONTARGET/TRANSCEND)の参加者13万例超のデータをプール解析し、明らかにした。結果を踏まえて著者は、「示されたデータは、減塩は、食塩摂取量の多い高血圧の人が最適なターゲットであることを示唆するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年5月20日号掲載の報告より。

近隣の歩行環境が良いと肥満・糖尿病のリスクが低下/JAMA

 歩行環境に恵まれている都市近郊住民ほど過体重や肥満になる割合が低く、糖尿病の発症率も低いことが明らかにされた。カナダ・St Michael's HospitalのMaria I. Creatore氏らが2001~12年のオンタリオ州南部の都市住民データを分析した結果で、JAMA誌2016年5月24・31日号で発表した。肥満および糖尿病の罹患率はここ10年で大きく上昇しているが、その傾向に歯止めをかける環境的要因の役割については明らかにされていない。著者らは、都市近郊の歩行環境が良好な住区では不良な住区と比べて、過体重、肥満、糖尿病の増大が緩やかであるかどうかを調べた。

SPRINT試験:frailな高齢者でも厳格な降圧が有用であることを示した点で画期的、ただし腎機能の悪化や有害事象も起こりやすい(解説:桑島 巖 氏)-540

今回のSPRINTサブ解析では、75歳以上の高齢者高血圧では収縮期血圧140mmHg未満を目指す標準降圧群よりも、120mmHg未満の厳格降圧群のほうが生命予後の改善に良好であることを示した点で画期的である。サブ解析とはいえども対象数は2,636例と、解析には十分堪えられる症例数であり、信頼性は高い。

75歳以上も降圧目標120mmHgが至適:SPRINT試験サブ解析/JAMA

 75歳以上の非糖尿病高血圧患者について、目標収縮期血圧値を120mmHgとする強化降圧治療を行ったほうが、同140mmHgとした場合に比べ、心血管イベントや全死因死亡のリスクが、いずれも3割強低下することが示された。米国・ウェイクフォレスト大学医学部のJeff D. Williamson氏らが、2,636例を対象に行った多施設共同無作為化比較試験「SPRINT」の結果で、JAMA誌オンライン版2016年5月19日号で発表した。高齢の高血圧患者への至適治療は、議論の的となっていた。

津波後の移住が心代謝リスク因子に関連

 2011年に起きた東日本大震災の津波被災者を対象に、移住に代表される震災関連の精神的および社会経済的問題とアテローム性動脈硬化症リスク因子の変化との関連を調査した縦断研究が報告された。この研究から、津波後の移住が被災者の体重の増加とHDLコレステロール(HDL-C)値の減少に関連しており、この変化は災害後の長期間にわたる精神的苦痛と社会経済的問題と関連することが示唆された。岩手医科大学の高橋 宗康氏らによるBMJ Open誌オンライン版2016年5月12日号掲載の報告。

ジャガイモは高血圧のリスク?/BMJ

 ジャガイモは、糖質(glycemic carbohydrate)とカリウム(高血圧などの慢性疾患の予防効果のエビデンスがある)の双方を豊富に含むため、高血圧の発症リスクへの影響は不明とされてきた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のLea Borgi氏らは、今回、一般的なジャガイモ料理(焼き、ゆで、マッシュポテト)やフライドポテトをよく食べる人は、高血圧の発症リスクが増大するとの研究結果を、BMJ誌オンライン版2016年5月17日号で報告した。米国政府機関は、子供や低所得層へ健康的な食事を提供するプログラムにおいて、当初、ジャガイモなどのでんぷん質野菜に設けられていた制限を、最近、解除している。また、WHOはジャガイモを野菜に含めていないという。