内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:9

乳製品と死亡リスク減少、牛乳vs.ヨーグルト/慶應大

 日本人における乳製品摂取と死亡リスクとの関連を12年間追跡調査した結果、男女ともにヨーグルトの摂取量が多いほど全死因死亡リスクが低く、女性ではさらに乳製品全般および牛乳摂取と全死因死亡リスク、牛乳摂取とがん死亡リスク、ヨーグルト摂取と心血管疾患死亡リスクの低下が関連していたことを、慶應義塾大学の宮川 尚子氏らが明らかにした。Journal of Atherosclerosis and Thrombosis誌オンライン版2024年11月13日号掲載の報告。  これまでの研究において、日本人集団における乳製品摂取と死亡リスクとの関連は、研究間で、とくに男女間で一貫していない。そこで研究グループは、日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)の追跡データを用いて、乳製品摂取と全死因死亡やがん死亡、心血管疾患死亡との関連を調べた。

ビタミンB3はCOPD患者の肺の炎症を軽減する?

 ビタミンB3を毎日摂取することで、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の肺の炎症が軽減する可能性のあることが、小規模な臨床試験で明らかになった。コペンハーゲン大学(デンマーク)のMorten Scheibye-Knudsen氏らによるこの研究結果は、「Nature Aging」に11月15日掲載された。Scheibye-Knudsen氏は、「炎症は、COPD患者の肺機能を低下させる可能性があるため、この結果が意味するところは大きい」と述べている。  COPD患者は、肺炎やインフルエンザ、その他の重篤な呼吸器感染症に罹患しやすく、罹患した場合には致命的となることもある。Scheibye-Knudsen氏らは、安定期COPD患者40人(平均年齢71.9歳)と、年齢や性別、BMIが類似した健康な対照20人(平均年齢70.9歳)を対象にランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施し、COPDに対するニコチンアミドリボシド(NR)の効果を評価した。NRはビタミンB3の一種である。COPD患者と対照は、それぞれの群内で、6週間にわたりNR(2g)またはプラセボを摂取する群に1対1の割合でランダムに割り付けられた。対象者は12週間後に追跡調査を受けた。主要評価項目は、炎症マーカーであるインターロイキン8(IL8)のベースラインから6週間目までの変化量とした。

急性呼吸器感染症が2025年4月から5類感染症に/厚労省

 厚生労働省は、2025(令和7)年4月7日から感染症法施行規則改正により急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection:ARI)を感染症法上の5類感染症に位置付け、定点サーベイランスの対象とすることを発表した。  ARIは、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)または下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)を指す病原体による症候群の総称で、インフルエンザ、新型コロナウイルス、RSウイルス、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナなどが含まれる。

ベースアップ評価料のさらなる算定を政府に要望/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、「令和6年度補正予算案におけるベースアップ評価料のさらなる算定と各地方公共団体への積極的な働きかけについて」をテーマに松本氏が医師会から政府などへの要望提出について説明を行った。  「ベースアップ評価料」とは、2024年6月の診療報酬改定で新設された医療関係職種(医師・歯科医師、事務職員除く)の賃上げを目的にした点数で、各地域の厚生局への届け出により算定が可能になる。

国内高齢者の4人に1人、75歳以上では3人に1人がCKD

 日本人高齢者の4人に1人は慢性腎臓病(CKD)であり、75歳以上では3人に1人に上ることが明らかになった。広島大学医系科学研究科疫学・疾病制御学分野の福間真悟氏、東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科学の小林亜理沙氏らが、全国約60万人の健診データを用いて推計した結果であり、詳細は「Clinical and Experimental Nephrology」に10月5日掲載された。  国内のCKD患者数は、2009年に行われた調査を基に「成人の約13%、約1330万人が該当する」とされている。しかしこの調査から15年たち、平均寿命の延伸、CKDリスクに関連のある糖尿病などの生活習慣病の有病率の変化により、CKD患者数も変化していると考えられる。特に腎機能は加齢とともに低下することから、高齢者の最新のCKD有病率を把握することが重要と考えられる。これらを背景として福間氏らは、全国規模の医療費請求データおよび健診データの商用データベース(DeSCヘルスケア株式会社)を用いた新たな解析を行った。

片頭痛治療をためらう理由とは〜OVERCOME研究

 片頭痛の治療法は、さまざまであるにもかかわらず、片頭痛患者の多くは、医療に消極的であり、診断および効果的な治療機会を逃し、疾病負担を軽減する機会を喪失している可能性がある。患者が片頭痛治療を躊躇する理由を明らかにすることは、医療専門家や支援者の障壁に対処し、アウトカム改善につながると考えられる。米国・バーモント大学のRobert E. Shapiro氏らは、片頭痛治療を躊躇することと関連する因子を特定するため、米国大規模サンプルを対象に、調査を行った。Neurology and Therapy誌オンライン版2024年11月2日号の報告。

HEPAフィルターによる空気清浄、急性呼吸器感染症の予防効果は?

 高齢者居住施設において、HEPA-14フィルターを使った高性能空気清浄が急性呼吸器感染症(ARI)の発生率に及ぼす影響について、オーストラリア・ニューカッスル大学のBismi Thottiyil Sultanmuhammed Abdul Khadar氏らの研究チームがランダム化臨床試験を実施した。その結果、HEPA-14フィルターを用いた場合とそうでなかった場合で、ARI発生率に有意差は認められなかった。JAMA Network Open誌2024年11月11日号に掲載。

心房細動を有する心不全発症患者で死亡や入院のリスクが増加

 新たに心不全を発症し、不整脈の一種である心房細動も有する患者の10人に4人は予後不良となる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。米インターマウンテン・ヘルスの心臓血管疫学者であるHeidi May氏らによるこの研究結果は、米国心臓協会年次学術集会(AHA 2024、11月16〜18日、米シカゴ)で発表されるとともに、要旨が「Circulation」に11月11日掲載された。May氏は、「心房細動は、心不全をさらに厄介で治療が複雑な疾患にする可能性がある」と話している。  心房細動と心不全は、ともに有害事象のリスク増加と関連しているが、両方の診断を受けている患者は少なくない。今回の研究では、心不全の新規診断を受けた患者における心房細動の影響を、駆出率が40%未満に低下した心不全(HFrEF)と駆出率が40%以上に保持されている心不全(HFpEF)に分けて検討し、両群間でリスクに差があるかどうかが調査された。対象は、2000年から2019年の間に心不全を発症し、診断から30日以内に駆出率を測定され、1年間追跡されていた2万1,925人であった。心不全の内訳は、HFrEF患者7,931人(36.2%)、HFpEF患者1万3,994人(63.8%)であった。対象者の40.5%(8,879人)は、心房細動を併発しており、その罹患率はHFpEF患者の方がHFrEF患者よりも高かった(65.2%対34.8%)。心房細動併発患者の中では、HFpEF患者の方がHFrEF患者よりも高齢で(76歳対72歳)、女性が占める割合が高かった(52.7%対30.8%)。

ダイナペニック肥満は心血管疾患のリスク因子―久山町24年間の縦断解析

 肥満でありながら筋力が低下した状態を指す「ダイナペニック肥満」が、心血管疾患(CVD)発症の独立したリスク因子であることが、久山町研究から明らかになった。九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野の瀬戸山優氏、本田貴紀氏、二宮利治氏らの研究によるもので、「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に論文が10月8日掲載された。  筋肉量の多寡にかかわらず筋力が低下した状態を「ダイナペニア」といい、筋肉量と筋力がともに低下した状態である「サルコペニア」と並び、死亡リスク上昇を含む予後不良のハイリスク状態とされている。さらに、その状態に肥満が加わったサルコペニア肥満やダイナペニック肥満では、CVDのリスクも高まる可能性が示されている。しかしダイナペニック肥満に関してはCVDとの関連の知見がまだ少なく、海外からの報告がわずかにあるのみであり、かつ結果に一貫性がない。これを背景として本研究グループは、1961年に国内疫学研究の嚆矢として福岡県糟屋郡久山町でスタートし、現在も住民の約7割が参加している「久山町研究」のデータを用いた検討を行った。

ダークチョコレートで2型糖尿病リスク低減か/BMJ

 ダークチョコレートの摂取量増加は2型糖尿病リスク低下と関連したが、ミルクチョコレートではそのような関連はみられなかった。ミルクチョコレートの摂取量増加は長期的な体重増加と関連したが、ダークチョコレートではそのような関連はみられなかった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のBinkai Liu氏らが、米国の看護師および医療従事者を対象とした大規模前向きコホート研究のデータを用いて行った解析の結果を報告した。チョコレートにはフラバノールが多く含まれ、無作為化試験で心代謝へのベネフィットや2型糖尿病のリスクを軽減することが示されている。ただしチョコレートの摂取と2型糖尿病のリスクとの関連性は観察試験では一貫した結果が示されておらず、なお議論の的となっていた。研究グループは、ダークチョコレートとミルクチョコレートでは、カカオ含有量や砂糖、ミルクといった成分割合が異なり、2型糖尿病リスクとの関連性が異なる可能性があるとして、これまで行われていなかったチョコレートの種類(ダークチョコレート、ミルクチョコレート)との関連を調べた。BMJ誌2024年12月4日号掲載の報告。