神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:115

PPIで認知症リスクの増加みられず~大規模症例対照研究

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期使用とアルツハイマー病(AD)のリスク増加との関連がいくつかの観察研究で報告されているが、使用期間の影響や他の認知症でも当てはまるかどうか検討されていない。スイス・バーゼル大学のPatrick Imfeld氏らは、大規模な症例対照研究により、PPI(またはネガティブコントロールとしてのH2受容体拮抗薬[H2RA])の長期使用と、ADまたは血管性認知症(VaD)の発症リスクとの関連を検討した。その結果、PPIやH2RAに関連するADやVaDのリスク増加はみられなかった。Drug Safety誌オンライン版2018年8月27日号に掲載。

7つの生活習慣、心血管にも認知機能にも好影響/JAMA

 フランス・ボルドー大学のCecilia Samieri氏らは、米国心臓協会(AHA)が推奨する7つの生活習慣(ライフ シンプル7)を用いて定義した心血管の健康レベルと、高齢者の認知症および認知機能低下のリスクとの関連性を検証する65歳以上の地域住民を対象としたコホート研究(The Three-City[3C] Study:3C研究)において、ライフ シンプル7の実行項目数の多さと心血管健康スコア高値は、認知症リスクおよび認知機能低下率の低さと関連していることを明らかにした。著者は、「認知機能低下や認知症と関連するリスク因子を予防するため、心血管の健康増進が望まれる」とまとめている。これまで、心血管の健康レベルと認知症リスクとの関連に関するエビデンスは限られていた。JAMA誌2018年8月21日号掲載の報告。

高所得国の平均余命、米国が最下位の理由は?/BMJ

 OECD加盟の高所得国18ヵ国の中で、米国の平均余命は最も低く、他国との差は年々開いているという。米国では2014~16年には連続して平均余命の低下が報告され、また英国では2014~15年に低下が報告された。米国・南カリフォルニア大学のJessica Y. Ho氏らは、他の高所得国でも2014~16年に平均余命の低下が起きていないかを調べ、低下の原因を特定し、原因は各国に共通したものなのか否か、低下を引き起こした原因別の規模を調べた。BMJ誌2018年8月15日号掲載の報告。

認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連

 認知症における抗コリン薬負荷は、認知機能障害および認知機能低下と関連している。しかし、これまでの研究では、脳卒中などの重大な有害アウトカムに対する抗コリン薬の影響については検討されていなかった。スウェーデン・ストックホルム大学のEdwin C. K. Tan氏らは、各認知症サブタイプにおける抗コリン薬の認知負荷(ACB:anticholinergic cognitive burden)と脳卒中や死亡リスクとの関連について調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2018年7月21日号の報告。

高齢者施設の疥癬、古典的記述が通じない

 英国の老人ホームや介護施設では疥癬の発生がよくみられるが、診断が遅れやすく、制御するのが困難である。老人ホームにおける疥癬の臨床症状は、臨床医になじみがある古典的記述とは異なることを、英国・ブライトン・サセックスメディカルスクールのJackie A. Cassell氏らが明らかにした。著者は、「この違いには、高齢者という脆弱な集団における、認識の遅れと最適状態には及ばない管理がおそらく関与している」と述べたうえで、「ダーモスコピーと顕微鏡検査はほとんど役に立たなかった。高齢者、とくに認知症を持つ人々は、疥癬の症状に対する訴え方が記述とは異なることを医療スタッフが認識し、徹底的な検査を行うべきである」とまとめている。Lancet Infectious Diseases誌2018年8月号掲載の報告。

日本人アルツハイマー病患者に対する長期ドネペジル投与の病態変化と安全性

 アルツハイマー病(AD)患者における、ドネペジル塩酸塩の長期かつ大規模な研究(J-GOLD試験)が実施された。順天堂大学の新井 平伊氏らによる本研究では、これまで2つの中間報告が行われていたが、研究結果の分析が完了し最終報告が行われた。Psychogeriatrics誌オンライン版2018年7月11日号の報告。

心房細動患者の認知症発症、降圧薬やワルファリンで2割減

 1万例以上の心房細動患者を対象とした研究で、サイアザイド/レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬併用などの降圧薬処方やワルファリン使用が、認知症発症率の低下と関連していたことをスウェーデン・カロリンスカ研究所のPer Wandell氏らが報告した。International Journal of Cardiology誌オンライン版2018年7月21日号に掲載。

30~50代で非飲酒でも認知症リスク上昇/BMJ

 中年期に飲酒しなかった集団および中年期以降に過度な飲酒を続けた集団は、飲酒量が適度な場合に比べ認知症のリスクが高まることが、フランス・パリ・サクレー大学のSeverine Sabia氏らが行った「Whitehall II試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年8月1日号に掲載された。非飲酒と過度な飲酒は、いずれも認知機能に有害な影響を及ぼすとされるが、認知症の発症予防や遅延に関する現行のガイドラインには、エビデンスが頑健ではないため、過度の飲酒は含まれていないという。また、研究の多くは、老年期のアルコール摂取を検討しているため生涯の飲酒量を反映しない可能性があり、面接評価で認知機能を検討した研究では選択バイアスが働いている可能性があるため、結果の不一致が生じている。