神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:136

t-PA+血栓除去、急性脳卒中の機能的自立率アップ/NEJM

 前大脳動脈近位部閉塞による急性脳卒中患者に対し、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)静注療法に加えてステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去術を行うことで、90日時点での機能的自立率は60%と、t-PA静注療法単独の35%と比べて大幅に改善することが示された。米国UCLA脳卒中センターのJeffrey L. Saver氏らが、196例について行った無作為化試験の結果、報告した。先行研究で、同患者へのt-PA静注療法単独では機能的自立率は40%未満と報告されており、ステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去術を併用した場合には再灌流率が上昇し、長期的な機能的アウトカム改善の可能性が示されていた。NEJM誌オンライン版2015年4月17日号掲載の報告より。

アルツハイマーへのリバスチグミン、その有用性は

 英国・オックスフォード大学のJacqueline S Birks氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)に対するコリンエステラーゼ阻害薬リバスチグミンの臨床での有効性と安全性を確認するレビューを行った。13試験を包含した解析の結果、同薬は軽症~中等度ADに有益と思われること、プラセボとの比較で認知機能やADLの低下に対して効果があることが観察されたが、その程度はわずかで臨床的意義については不確かであることなどを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月10日号の掲載報告。

日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か

 静岡てんかん・神経医療センターの井上 有史氏らは、日本人の成人難治性部分てんかん発作患者を対象に二重盲検プラセボ対照検証的試験を行い、レベチラセタム追加投与の有効性と安全性を検討した。その結果、主要有効性解析においてレベチラセタム群とプラセボ群の間で有効性に有意差は認められなかったが、探索的解析においてレベチラセタム3,000mg群はプラセボ群に比べ有意な発作減少が確認されたことを報告した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2015年4月8日号の掲載報告。

片頭痛予防にSSRIやSNRIは支持されない

 2005年に発表した、片頭痛および緊張型頭痛の予防のためのSSRIに関するコクランレビューを、イタリア・Laboratory of Regulatory PoliciesのRita Banzi氏らはアップデートした。今回のレビューでは、SSRIやセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるベンラファキシン(国内未承認)を片頭痛の予防として用いることを支持するエビデンスは得られなかった。また、2~3ヵ月超の治療でSSRIやベンラファキシンがプラセボやアミトリプチリンより片頭痛の頻度、重症度および持続期間を減少させるというエビデンスも示されなかった。これらの結果を踏まえて著者は、「片頭痛の予防にSSRIやSNRIの使用は支持されない」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月1日号の掲載報告。

精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか

 てんかん患者に精神障害(PD)が高頻度に認められることを受け、これらの患者、とくに手術適応となる難治性内側側頭葉硬化を伴う側頭葉てんかん(TLE-MTS)患者に対する精神的評価の必要性を示す研究がこれまでに行われてきた。近年のエビデンスは、TLE-MTS やPDの評価手段であるビデオ脳波(VEEG)の安全性を強調している。しかし、てんかんセンターの中には、PDがある場合は、陰性行動イベントのリスクがあることを主な理由として、VEEGによる術前評価を禁忌としているところが依然としてある。ブラジル・Faculdade de Medicina de Sao Jose do Rio Preto(FAMERP)のGerardo Maria de Araujo Filho氏らは、精神障害を認める難治性てんかん患者において、PDの評価として施行する術前のVEEGが禁忌となりうるのかを明らかにするため、後ろ向きコホート研究を行った。Epilepsy & Behavior誌4月号(オンライン版2015年3月20日号)の掲載報告。

血栓吸引療法に何を求めるのか(解説:上田 恭敬 氏)-351

 本論文は、以前に行われた多施設、前向き、オープンラベル、無作為化比較対照試験のThrombus Aspiration in ST-Elevation Myocardial Infarction in Scandinavia (TASTE)trialの後に行われた、新たな多施設、前向き、オープンラベル、無作為化比較対照試験であるThe Trial of Routine Aspiration Thrombectomy with PCI versus PCI Alone in Patients with STEMI(TOTAL)trialの結果を報告したものである。

疼痛管理の改善が認知症患者の問題行動を減らす?

 認知症患者の痛みは、気付かれることが少なく治療が不十分である。英国・ロンドン大学のElizabeth L Sampson氏らは、急性期総合病院に入院中の認知症患者を対象とした縦断的コホート研究において、疼痛が認知症の行動・心理症状(BPSD)と関連しており、疼痛管理の改善が問題行動を減少させ、認知症患者に対する入院ケアの質を向上させる可能性があることを示した。Pain誌2015年4月号の掲載報告。

認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加

 抗精神病薬治療は認知症高齢者における死亡率上昇と関連がある。しかし、無治療またはその他の向精神性の薬剤と比べた場合のリスクに対する絶対的影響については明確にされていない。米国・ミシガン大学のDonovan T. Maust氏らは、認知症高齢者における抗精神病薬による死亡リスクを明らかにするため、後ろ向きケースコントロール研究を実施した。その結果、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンなどの非定型抗精神病薬による治療は、無治療および抗うつ薬治療と比べ死亡リスクが大きく、用量依存的に死亡リスクが増大することを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。