神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:90

無症候性の頸動脈高度狭窄例に対するCASで、CEAと転帰の差を認めず:CREST/ACTⅠメタ解析

 米国では、頸動脈インターベンションの最大の適応は無症候性の高度狭窄だという。しかし、米国脳卒中学会など関連14学会による2011年版ガイドラインでは、外科高リスク例を除き、無症候性頸動脈高度狭窄例に対しては、頸動脈ステント留置術(CAS)よりも頸動脈内膜剥離術(CEA)が推奨されている。しかし同ガイドライン策定後、CREST試験とACTI試験という2つの大規模ランダム化試験において、末梢塞栓保護下CASは、死亡・脳卒中・心筋梗塞抑制に関し、CEAに対する非劣性が示された。

認知症のBPSDに対する治療の有効性・安全性比較~メタ解析

 認知症患者の行動と心理症状(BPSD)に対する薬理学的および非薬理学的治療の有効性、安全性を比較するため、中国・China Medical UniversityのBoru Jin氏らは、ランダム化データより直接的および間接的なエビデンスを用いて、検討を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2019年1月21日号の報告。  BPSDに利用可能なすべての介入のランダム化比較試験(RCT)のみを用いて、システマティックレビューおよびベイジアンネットワーク・メタ解析を行った。RCTは、PubMed、EMBASE、Cochrane library、CINAHLより検索した。有効性アウトカムは、Neuropsychiatric Inventory(NPI)およびCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いて評価した。安全性アウトカムは、全有害事象(AE)、下痢、めまい、頭痛、転倒、悪心、嘔吐、脳血管疾患について評価した。

アスピリンまたはクロピドグレルへのシロスタゾール併用、日本人脳梗塞の出血リスクを増やさず再発抑制:CSPS.com試験

 虚血性脳血管障害に対する長期の抗血小板薬2剤併用は、脳卒中を抑制せず大出血リスクを増やすとされている。これは大規模試験MATCH、CHARISMAサブスタディ、SPS3で得られた知見に基づく。  しかし、これらのランダム化試験で検討されたのは、いずれもアスピリンとクロピドグレルの併用だった。ではCSPS 2試験においてアスピリンよりも出血リスクが有意に低かった、シロスタゾールを用いた併用ではどうだろう――。この問いに答えるべく、わが国で行われたのが、ランダム化非盲検試験CSPS.comである。その結果、アスピリン、クロピドグレル単剤に比べ、それらへのシロスタゾール併用は、重篤な出血リスクを増やすことなく、脳梗塞を有意に抑制することが明らかになった。2019年2月6~8日に、米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)初日のOpening Main Eventにおいて、豊田 一則氏(国立循環器病研究センター病院・副院長)が報告した。

降圧目標120mmHg未満でも認知症リスクは低下せず/JAMA

 50歳以上の高血圧患者に対し、収縮期血圧の目標値を120mmHg未満として降圧治療を行っても、140mmHgを目標とする通常の降圧治療と比べて、認知症リスクの有意な低下は認められなかったことが示された。一方で、軽度認知障害のリスクは有意な低下が認められたという。米国・ウェイクフォレスト大学のJeff D. Williamson氏ら「SPRINT試験・SPRINT MIND」研究グループが、9,000例超を対象に行った無作為化比較試験で明らかにし、JAMA誌2019年1月28日号で発表した。ただし結果について、「試験が早期に中止となり、認知症例も予想より少なく、エンドポイントの検出力は不足している可能性がある」と指摘している。現状では、軽度認知障害や認知症のリスクを低減する実証された治療法は存在しておらず、今回研究グループは、血圧コントロールの強化が認知症リスクに与える影響を検討した。

バレンタインとてんかんの意外な関係

 バレンタインデーの由来となった聖バレンタインは、てんかんのある人々を庇護した聖人としてたたえられている。それ故、「世界てんかんの日」はバレンタインデー直前の月曜日、2月の第2月曜日と定められている。また、毎年3月26日をパープルデーと定めるなど、てんかんは世界的な社会啓発が進められている。2019年1月28日、大塚製薬株式会社が主催するプレスセミナー「てんかん患者を取り巻く環境を考える」が開催され、加藤 天美氏(近畿大学 脳神経外科主任教授)と川合 謙介氏(自治医科大学 脳神経外科教授)が登壇した。

中年期以降の握力低下と認知症リスク~久山町研究

 九州大学の畑部 暢三氏らは、中年期から高齢期の握力低下と認知症リスクについて、検討を行った。Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年12月8日号の報告。  60~79歳の認知症でない地域住民1,055例(平均年齢:68歳)を対象に24年間の追跡調査を行った。そのうち835例(平均年齢53歳)は、1973~74年に実施した健康診断のデータを中年期の分析に使用した。中年期から高齢期の15年間(1973~1988年)にわたる握力低下によってもたらされる認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VaD)のリスクをCox比例ハザードモデルで推定し、1988~2012年までフォローアップを行った。

軽度アルツハイマー病に対するコリンエステラーゼ阻害薬のベネフィット

 アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI-AD)および軽度のアルツハイマー型認知症(ADdem)に対するコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)の認知機能アウトカムについて、米国・セントルイス・ワシントン大学のJee-Young Han氏らが検討を行った。Alzheimer Disease and Associated Disorders誌オンライン版2019年1月10日号の報告。  対象は、MCI-AD(臨床認知症評価法[CDR]:0または0.5)もしくは軽度ADdem(CDR:0.5または1)と臨床的に診断された2,242例。患者データは、National Alzheimer's Coordinating Center(NACC)の統一データセット(Uniform Data Set)より抽出した。

多発性硬化症進行、疾患修飾薬による違いは?/JAMA

 再発寛解型多発性硬化症(MS)患者において、フィンゴリモド、アレムツズマブ、ナタリズマブによる初回治療は、グラチラマー酢酸塩またはインターフェロンβ(IFNβ)による初回治療と比較し、二次性進行型MSへの移行リスクが低い。英国・ケンブリッジ大学のJ. William L. Brown氏らが、疾患修飾薬(DMT)の使用と二次性進行型MSへの移行リスクとの関連性を検証した前向きコホート研究の結果を報告した。未治療の再発寛解型MS患者の80%は20年以内に二次性進行型MSに移行するが、DMTと二次性進行型MSへの移行との関連性について妥当性が確認された定義を用いた研究はほとんどなかった。著者は今回の結果について、「DMTを選択する際に役立つ可能性がある」とまとめている。JAMA誌2019年1月15日号掲載の報告。

日本人の脳卒中生涯リスク:4人に1人が脳卒中になる(解説:有馬久富氏)-1000

Global Burden of Disease(GBD)研究2016より、全世界における脳卒中の生涯リスクがNEJM誌に報告された。その結果、25歳以降に脳卒中を発症するリスクは25%であった。日本における脳卒中の生涯リスクは全世界よりも少し低い23%であり、約4人に1人が脳卒中に罹患する計算になる。また、日本では1990~2016年までの間に生涯リスクが3%減少していた。  一方、東アジアで脳卒中の生涯リスクが最も高いのは中国(39%)であり、約2.5人に1人が罹患する計算になる。さらに中国では、1990~2016年までの間に生涯リスクが9%も増加していた。中国において高血圧の未治療者や、降圧目標を達成できていない者が多いことが、高い脳卒中生涯リスクの一因かもしれない。

メマンチンと抑肝散との薬物相互作用に関する基礎研究

 アルツハイマー病の治療においては、コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチン(MEM)、または抑肝散(YKS)などの認知症患者の行動と心理症(BPSD)治療に用いられる伝統的な漢方薬が使用される。株式会社ツムラのTakashi Matsumoto氏らは、MEMとYKSとの薬物相互作用(DDI)を明らかにするための研究の一環として、いくつかの基礎的な薬物動態学的および薬理学的研究を実施した。Molecules誌2018年12月29日号の報告。