脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:32

睡眠薬使用と認知症リスクに関する人種差

 高齢者の認知機能に対する睡眠薬の影響は論争の的となっている。これは、睡眠の質や人種差に依拠している可能性がある。米国・カリフォルニア大学のYue Leng氏らは、睡眠薬使用と認知症発症について15年間の縦断的関連を評価し、夜間の睡眠障害との関連や人種差について調査を行った。その結果、睡眠薬の高頻度の使用が、白人高齢者の認知症リスクと関連していることを報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年12月20日号の報告。  対象は、認知症でない地域住民の高齢者3,068人(年齢:74.1±2.9歳、黒人の割合:41.7%、女性の割合:51.5%)。睡眠薬使用は、「睡眠薬や睡眠補助薬を服用していますか?」との質問を3回行って記録し、5段階(まったくない[0回]、ほとんどない[1回/月]、ときどき[2~4回/月]、よくある[5~15回/月]、非常によくある[16~30回/月])で評価した。認知症の発症は、入院記録、認知症薬の使用または全体的な認知機能の臨床的に有意な低下で定義した。

「当事者にも目を向けて」―レビー小体型認知症の多様な症状

 2023年1月17日、住友ファーマ主催のレビー小体型認知症(DLB)に関するプレスセミナーが開催され、大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室 教授の池田 学氏から「第2の認知症、レビー小体型認知症(DLB)の多彩な症状と治療法の進歩」について、近畿大学医学部 精神神経科学教室 主任教授 橋本 衛氏からは「当事者に目を向けた診療のすすめと当事者、介護者、主治医に伝えたいこと」について語られた。  多様な症状を示し、アルツハイマー型認知症と比べてケアが難しいDLBでは、当事者、介護者、主治医の3者の理解が深まることで、当事者のQOL向上と介護者の負担軽減が期待される。

日本における片頭痛オンライン診療の現状

 2020年3月以降、COVID-19パンデミックによりオンライン診療の必要性が高まっている。日本では2022年4月に、ほとんどの疾患に対するオンライン診療が正式に開始された。長野・こむぎの森 頭痛クリニックの勝木 将人氏は、オンライン診療のみで治療を行った日本人頭痛患者の初の症例集積研究となる、初診から3ヵ月間の治療成績を報告した。その結果、オンライン診療のみで治療を行った3ヵ月の時点で、Headache Impact Test-6(HIT-6)スコア、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)の有意な改善が認められた。著者は、オンライン診療は頭痛治療におけるアンメットニーズを解決するために普及することが期待されると、本報告をまとめている。Cureus誌2022年11月3日号の報告。

歌うことは脳卒中後の失語症からの回復に役立つ可能性

 歌うことが、脳卒中により失語症を患った患者のコミュニケーション能力の回復に有効なようだ。ヘルシンキ大学(フィンランド)のAnni Pitkaniemi氏らが実施した新たな研究で、歌うことをベースにした集団で行うリハビリテーション(以下、リハビリ)により、失語症のある脳卒中慢性期の患者のコミュニケーション能力や発話能力が改善し、社会活動を増加させることが明らかになった。この研究の詳細は、「Brain Communications」に12月27日掲載された。  失語症では、脳の外傷が原因で、話し言葉や書き言葉を伝えたり理解したりすることが困難になる。脳卒中後の患者の約40%が失語症を発症し、その約半数では脳卒中から1年が経過してもこの症状が続く。失語症は、脳卒中患者の機能能力や生活の質(QOL)に広範な影響を及ぼすため、失語症が原因で社会的に孤立してしまう患者も珍しくない。

日本におけるレビー小体型認知症患者・介護者の治療ニーズ

 レビー小体型認知症(DLB)に対する治療戦略を考えるうえで、患者の治療ニーズを把握することは不可欠である。近畿大学の橋本 衛氏らは、DLB患者とその介護者における治療ニーズおよびこれらの治療ニーズを主治医がどの程度理解しているかを調査するため、横断的観察研究を実施した。その結果、DLB患者およびその介護者の治療ニーズのばらつきは大きく、主治医は専門知識を有しているにもかかわらず、DLBのさまざまな臨床症状のために、患者やその介護者にとって最優先の治療ニーズを理解することが困難であることが明らかとなった。著者らは、主治医には自律神経症状や睡眠関連障害により注意を払った治療が求められるとしている。Alzheimer's Research & Therapy誌2022年12月15日号の報告。

高齢者の認知機能に対するハーブ抽出物の効果~ランダム化対照試験

 アルツハイマー病モデルに関するin vitroおよびin vivoの研究において、ロスマリン酸がアミロイドβの形成やアミロイドβタンパク質のオリゴマー化や沈着を阻害できると報告されている。ロスマリン酸500mgを含有する食用ハーブであるメリッサオフィシナリス(M. officinalis)抽出成分は、健康成人や軽度のアルツハイマー型認知症患者に対し忍容性、安全性が良好であると考えられる。金沢大学の篠原 もえ子氏らは、高齢者におけるM. officinalis抽出成分の認知機能に対する影響を評価するため、ランダム化プラセボ対照二重盲検試験を実施した。その結果、M. officinalis抽出成分は、高血圧でない高齢者の認知機能低下の予防に有用である可能性が示唆された。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年12月7日号の報告。

脳卒中後の職場復帰状況は?/BMJ

 手厚い福利厚生と支援システムを有するデンマークでは、主に軽症の脳梗塞成人患者の約3分の2が、診断から2年後には労働市場に参加している一方で、脳出血患者は脳梗塞やくも膜下出血の患者に比べ職場復帰の確率が低いことが、デンマーク・オーフス大学病院のNils Skajaa氏らの調査で示された。職場復帰をしていない理由で最も多かったのは、病気休暇の取得と障害年金の受給であったという。研究の成果は、BMJ誌2023年1月3日号で報告された。

日本人片頭痛患者における併存疾患

 大阪・富永病院の菊井 祥二氏らは、日本における片頭痛とさまざまな精神的および身体的な併存疾患との関連を調査した。その結果、片頭痛患者では、そうでない人と比較し、精神的および身体的な併存疾患の有病率が高く、これまで日本では報告されていなかった新たな関連性も確認された。本研究結果は、片頭痛患者のケア、臨床診療、アウトカムを複雑にする可能性のある併存疾患に関する知見として役立つであろうとしている。BMJ Open誌2022年11月30日号の報告。  対象は18歳以上の日本在住者。国民健康調査2017年に回答した日本人サンプルのうち3万1人のデータを用いて、横断的研究を実施した。片頭痛患者378例および非片頭痛患者2万5,209例を特定した。1:4の傾向スコアマッチング後、非片頭痛患者を1,512例に絞り込んだ。片頭痛患者と非片頭痛患者における併存疾患の有病率および傾向スコアをマッチさせた有病率のOR(POR)は、精神的および身体的な併存疾患ごとに評価を行った。1ヵ月当たりの頭痛日数が15日未満の片頭痛患者と15日以上の片頭痛患者についても検討を行った。

意識していますか「毎月17日は減塩の日」

 ノバルティスファーマと大塚製薬は、「減塩の日」の啓発にちなみ高血圧症をテーマとしたメディアセミナーを共催した。  高血圧症は、血圧値が正常より高い状態が慢性的に継続している病態であり、わが国には約4,300万人の患者が推定されている。特に高齢者の有病率が高く、今後も患者数は増加することが予測されている。また、高血圧状態が続くことで、脳心血管疾患や慢性腎臓病などの罹患および死亡リスクが高まることが知られており、血圧を適切なレベルにコントロールすることが重要となる。

“適切な水分補給”、その意義は?

 適切な水分補給をしている人は、慢性疾患発症リスクが低く、長生きであったことを米国国立衛生研究所(NIH)心肺血液研究所のNatalia I. Dmitrieva氏らが明らかにした。eBioMedicine誌2023年1月2日掲載の報告。  マウスでは、水分補給を制限することで、生存期間の短縮や退行性変化の促進がみられることが報告されている。そこで、著者らの研究グループは、適切な水分補給が老化を遅らせるという仮説を立て、45~66歳の成人を対象にその仮説を検証した。