脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:30

認知症のリスク軽減とスクリーニングに対する意識調査

 認知症に対する薬理学的および非薬理学的介入は進歩しており、将来の認知症予防において、対象を絞ったスクリーニングやライフスタイルの改善に組み込まれていくことが期待される。認知症予防を推進していくうえで、コミュニティの関与を妨げる潜在的な問題を解決することは、認知症予防へのアクセスや実現の可能性を最大化するために重要である。オーストラリア・認知症研究連携センター(DCRC)のNikki-Anne Wilson氏らは、認知症のリスク軽減とスクリーニングに対する現在の考えおよび問題点を調査した。その結果、認知症のリスク軽減行動やスクリーニングに対する意欲が社会人口統計学的要因と有意に関連していることが明らかとなった。Alzheimer's Research & Therapy誌2023年4月10日号の報告。

リアルワールドにおけるフレマネズマブの長期有用性~FRIEND2試験

 イタリア・IRCCS San Raffaele RomaのPiero Barbanti氏らは、高頻度の反復性片頭痛(HFEM:1ヵ月当たりの片頭痛日数8日以上)または慢性片頭痛(CM:1ヵ月当たりの頭痛日数15日以上)患者を対象に、フレマネズマブの長期(24週間)有効性、安全性、忍容性の評価を実施した。その結果、フレマネズマブは、過去に複数の片頭痛の予防的治療に奏効しなかったHFEMおよびCM患者に対し早期かつ持続的な有効性を示し、安全性および忍容性プロファイルも良好であることが確認された。The Journal of Headache and Pain誌2023年3月23日号の報告。

夜勤と認知症リスク~UK Biobankの縦断的研究

 中国・Jinan University First Affiliated HospitalのYitong Ling氏らは、夜勤労働とすべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症との関連性を調査し、夜勤労働の影響およびアルツハイマー病に対する遺伝的感受性を評価した。その結果、常に夜勤をしている労働者では、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症リスクが高いことが示唆された。また、アルツハイマー病の発症リスクは、アルツハイマー病の遺伝的リスクスコア(GRS)の違いにかかわらず、常に夜勤をしている労働者で高いことが報告された。Journal of Neurology誌オンライン版2023年4月6日号の報告。

認知機能低下の早期発見にアイトラッキングはどの程度有用か

 アルツハイマー病(AD)患者では初期段階から、眼球運動に反映されるように、視空間処理障害が認められる。杏林大学の徳重 真一氏らは、ビジュアルタスク実行中の視線動向パターンを評価することで、認知機能低下の早期発見に役立つかを調査した。その結果、いくつかのタスクを組み合わせて視空間処理能力を可視化することで、高感度かつ特異的に認知機能の低下を早期に検出し、その後の進行の評価に役立つ可能性があることを報告した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2023年3月21日号の報告。

冬眠中のクマから血栓予防のヒントを発見

 長い間、体を動かさないでいると、人間なら血行不良から命にも関わる血栓ができかねない。しかし、何カ月にもわたって眠り続ける冬眠中のクマにこうした問題が生じないのはなぜなのだろう。この疑問を解く鍵はあるタンパク質にあることが、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(ドイツ)を中心とする国際研究グループが実施した13年にわたる研究から明らかになった。研究グループは、この発見が血栓予防薬の開発につながるとの期待を示している。研究の詳細は、「Science」4月13日号に報告された。

30代で高血圧の人は70代になった時に脳の健康が悪化している?

 成人期の早い段階で高血圧を発症した人は、高齢期に入った時点で脳の健康状態が悪化している可能性のあることが報告された。特に男性においてその関連が強いという。米カリフォルニア大学デービス校のKristen George氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に4月3日掲載された。  中高年者では高血圧を有することが、アルツハイマー病や認知症のリスクを示す頭部画像所見の多さと関連のあることが知られている。それに対して、中年期以前の高血圧と頭部画像所見との関連については知見が少ない。また、中年期以前に高血圧を発症した患者のうち女性患者は、女性ホルモンの保護作用によって脳の構造的な変化が男性よりも抑制される可能性がある。そこでGeorge氏らは、初期成人期の血圧と頭部画像所見との関連、およびその性差を検討した。

クルーズ船に乗船後、脳卒中を発症した作業療法士の女性―AHAニュース

 米国アリゾナ州に住む女性、Shelley Davisさんは、夫のGregさんや13歳と15歳になる娘たちとともに、1週間分の着替えや水着、日焼け止めなどの荷造りをしていた。彼女たち一家は1週間のクルーズ船の旅を目前に控えていた。  フロリダ州の港町に移動し、船に乗る日の朝は出港までの間、一家で日差しの中を散策した。やがて時間になり、クルーズ船ターミナル行きのバスに乗ろうとした時、Shelleyさんは頭痛を感じた。ターミナルに到着して乗船後に彼女は、横になるために自分たちの部屋へ直行した。夫のGregさんは、娘たちと船内を一巡。そして、「部屋に戻った時、妻はとても具合が悪そうにしていた」と話す。

CGRPモノクローナル抗体に反応しやすい日本人片頭痛患者の特徴

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体(CGRPmAb)は、頭痛障害が従来の予防的治療オプションに奏効しない片頭痛患者にとって有用な薬剤であると考えられる。しかし、日本国内におけるCGRPmAbの使用実績は2年と短く、治療反応が得られやすい患者とそうでない患者を治療前に判別することは困難である。慶應義塾大学の井原 慶子氏らは、CGRPmAbに奏効した日本人片頭痛患者の臨床的特徴を明らかにするため、リアルワールドデータに基づいた検討を行った。その結果、年齢が高く、過去の予防薬治療失敗の合計回数が少なく、免疫リウマチ性疾患の病歴のない片頭痛患者は、CGRPmAbに対する良好な治療反応が期待できることが示唆された。The Journal of Headache and Pain誌2023年3月9日号の報告。

女性の認知症、出産回数・初産年齢との関連は弱い

 出産回数の多さや初産の年齢の高さが女性の認知症リスクと関連しているとされ、妊娠に伴う生理学的な変化への曝露と説明されてきた。しかし、社会経済学的およびライフスタイルの要因が関連しているとも考えられ、男性でも同様のパターンがみられる可能性がある。デンマーク・Statens Serum InstitutのSaima Basit氏らは、女性の出産回数の多さや初産の年齢の高さと認知症リスクとの関連性について、男女両方に当てはまるかを検討した。その結果、子供の数や親になる年齢と認知症リスクとの関連性が男女間で同様であることから、社会経済学的およびライフスタイルの要因が認知症リスクと関連している可能性が示唆された。BMC Neurology誌2023年3月1日号の報告。

ミトコンドリアはアルツハイマー病の予防や治療の新たな扉を開くか

 アルツハイマー病リスクが高い人の特定は、予後や早期介入に重要である。縦断的な疫学研究では、脳の不均一性と加齢による認知機能低下が観察されている。また、脳の回復力は、予想以上の認知機能として説明されてきた。この「回復力(resilience)」の構造は遺伝的要因や年齢などの個人的特性と相関することが示唆されている。さらに、アルツハイマー病の病因とミトコンドリアの関連がこれまでのエビデンスで確認されているが、遺伝学的指標(とくにミトコンドリア関連遺伝子座)を通じて脳の回復力を評価することは難しかった。