米国・UCLA デイヴィッド・ゲフィン医科大学院 のH. Ray Jalian氏らは、皮膚レーザー治療をめぐる訴訟について分析を行った。全米データベースでオンライン公開されている法定文書を精査したもので、レーザー治療に関する訴訟の詳細を特定した最大規模の研究だという。分析の結果、実際の処置をphysician extenderが行っていた場合でも医師の責任も問われていることが明らかになった。著者は、インフォームド・コンセントの重要性とともに、医師には最終的な監督責任があることを強調している。JAMA Dermatology誌2013年2月号の掲載報告。
研究グループは、皮膚レーザー治療に関してよくみられる訴訟や、医師の職業上の責任を問われた判例の詳細を調べることを目的とした。
全米のデータベースでオンライン公開されている法定文書から、年間の訴訟件数、医療提供側の開業地および許認可、被った傷害、法的措置の理由、評決、賠償額を主要評価項目とし調査した。
主な結果は以下のとおり。
・1985~2012年の、皮膚レーザー治療に起因する傷害訴訟174件を同定した。内訳は形成外科手術に関するものが25.9%と最も多く、次いで皮膚科手術が21.3%であった。
・皮膚レーザー治療に関する訴訟は、年々増加している傾向がみられた。ピークは2010年(22件)であった。
・最も多い訴訟は、脱毛処置(63件)であった。若返り処置(rejuvenation、43件)が続いた。
・医師が施術者と特定されていたケースは100件(57.5%)であったが、146件の訴訟において被告人として名前が明記されていた。
・医師ではない施術者には、医療関係者[カイロプラクター、足病医(podiatrist)、ナースプラクティショナー(NP)、登録看護師(RN)など]、非医療関係者(エステティシャン、テクニシャンなど)が含まれ、訴訟ケースの37.9%で関与していた。
・訴訟に至った最大の要因(かつ、予防可能であった要因)は、医師がインフォームド・コンセントを得ていなかったことであった(約3分の1)。
・評決に持ち込まれた120件のうち、61件(50.8%)で原告勝訴の判決が下されていた。
・被告側が支払った賠償額は平均38万719ドルであり、これまでに報告されている全医療専門職における平均額を上回っていた。
(ケアネット)