腰痛患者にダイエットシューズはお薦めできない

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/08

 

 この10年、ロッカーソール(ロッキングチェアのように揺れる不安定な靴底)シューズは腰痛を軽減すると宣伝され続けているが、その強力なエビデンスはない。フラットソールシューズと比較した無作為化臨床試験の結果、慢性腰痛患者の障害と痛みに対するロッカーソールシューズの有用性は示されなかった。英国・チェルシー&ウェストミンスター病院のCatharine Sian Macrae氏らは、起立または歩行によって悪化する腰痛にはフラットソールシューズのほうがより有益である、と結論づけている。Spine誌2013年10月15日の掲載報告。

 研究グループは、腰痛患者の治療の一部としてのロッカーソールシューズと従来のフラットソールシューズの有効性を比較する多施設共同の無作為化比較試験を行った。

 対象は慢性腰痛患者115例で、ロッカーソール群(58例)とフラットソール群(57例)に無作為に割付け(主任研究者は盲検)、毎日最低2時間起立または歩行中にそれぞれのシューズを履いてもらった。最初の4週間は、週に1回、運動および教育プログラムに参加し、その活動中にも履くこととした。

 主要評価項目は、1年後のローランド・モリス障害質問票(RMDQ)スコアであった。

 主な結果は以下のとおり。

・1年間のRMDQスコア変化量平均値は、ロッカーソール群-3.1(95%信頼区間[CI]:-4.5~-1.6)、フラットソール群-4.4(同:-5.8~-3.1)であった。
・最小限の臨床的に重要な障害の改善が得られたと報告した患者の割合は、6ヵ月時点でフラットソール群がロッカーソール群に比べ有意に高かった(53.2% vs 31.1%、p=0.03)。
・上記以外のRMDQスコアおよび疼痛などの副次的評価項目は、どの評価時点においても両群間で有意差は認められなかった。
・試験開始前に起立時や歩行時の疼痛を有していた患者を対象とした解析では、1年間のRMDQスコア変化量平均値は、フラットソール群(-4.4、95%CI:-6.0~-2.8、29例)がロッカーソール群(-2.0、同:-3.6~-0.4、30例)より有意に大きかった(p<0.05)。

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(ケアネット)