高齢の乾癬患者は、非乾癬患者と比べて非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を有する割合が1.7倍高いことが、オランダ・エラスムス大学医療センターのElla A.M. van der Voort氏らによる住民ベースのコホート研究の結果、明らかにされた。最近のケースコントロール試験で、乾癬患者でNAFLDの有病率が上昇していることが観察されていた。研究グループは、NAFLDを伴うことは乾癬の至適治療の選択に関連することから、住民ベースコホートで、その実態を明らかにする検討を行った。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2013年12月24日号の掲載報告。
本検討は、大規模前向き住民ベースコホート研究「Rotterdam Study」の参加者である、55歳超の高齢者を登録して行われた。
NAFLDは、ほかの肝疾患を有しておらず、超音波検査で脂肪肝と診断された場合と定義し、規定アルゴリズムを用いて乾癬を有する被験者を特定した。
多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、人口統計学的因子、ライフスタイルの特徴および検査所見で補正後、乾癬とNAFLDに関連が認められるかどうかを調べた。
主な結果は以下のとおり。
・合計2,292例の被験者が分析に組み込まれた。平均年齢は76.2±6.0歳、女性58.7%、BMI:27.4±4.2であった。
・被験者のうち、乾癬を有していた人は118例(5.1%)であった。
・NAFLDの有病率は、乾癬患者46.2%に対し、乾癬を有していなかった参照群は33.3%であった(p=0.005)。
・乾癬は、NAFLDと有意に関連していた。アルコール消費量、喫煙量(パック/年)、喫煙状態、メタボリック症候群の有無、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)値で補正後も、乾癬はNAFLD発症の有意な予測因子のままであった(補正後オッズ比:1.7、95%CI:1.1~2.6)。
・今回の調査は、断面調査であった点において限界があるが、以上のように、高齢の乾癬患者でNAFLDを有している人は、非乾癬患者と比べて70%多いとみられた。そのリスクは、一般的なNAFLDリスクとは独立していた。
(ケアネット)