抗精神病薬注射剤を患者は望んでいるのか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/06/05 持効性注射剤(LAI)の抗精神病薬は統合失調症の治療アウトカムを改善するが、患者の注射への恐怖心や、アドヒアランスが得られないことから、しばしばその処方を見合わせるケースがある。複数の研究で、処方における文化や人種の差が示されている。米国・カリフォルニア大学のSteven G. Potkin氏らは、LAIの抗精神病薬に対する統合失調症患者の認識について、文化および人種差の観点から検討を行った。その結果、LAIに対して好意的な反応を示した患者は少なく、残りは「中立的/消極的」あるいは「不向き」との懸念を示した患者が同数を占めた。ヨーロッパ系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人それぞれ40例のデータを解析したが、サンプルサイズに限界があり文化や人種に特化した結論は得られなかった。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2014年5月20日号の掲載報告。 本パイロット研究では、患者のLAIに対する認識について、患者の文化および人種差を検討した。文化/人種サブグループの代表として選択されたLAI処方患者120例(ヨーロッパ系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人各40例)の会話を、諸外国語に精通した者が解析し、LAIに対する概念および心構えの類似性と相違を検討した。 主な結果は以下のとおり。 ・LAI未治療でLAIsを提示された患者35例のうち、好意的な反応を示した患者は9%(3例)、中立的/消極的が46%(16例)、不向きとの懸念を示した患者は46%(16例)であった。 ・好意的または中立的/消極的な反応を示したヨーロッパ系アメリカ人は50%(7/14例)、アフリカ系アメリカ人は63%(10/16例)、ラテン系アメリカ人では40%(2/5例)であった。 ・35例中20例(57%)と大半がLAI処方を受け入れた。当初、中立的/消極的または拒否した患者は53%(17/32例)であった(ヨーロッパ系アメリカ人42%[5/12例]、アフリカ系アメリカ人53%[8/15例]、ラテン系アメリカ人80%[4/5例])。 ・治療のゴールを示した患者は57%(68/120例)であった。 ・陽性/陰性症状のコントロールをゴールとした者は、LAIに対する前向きな心構えと関連していた。一方、不安および不眠症のコントロールをゴールとした者は、LAIに対する心構えがネガティブな傾向にあった。 ・治療のゴールを示したラテン系アメリカ人は、不快感のコントロールに焦点をあてる傾向にあった(67%[12/18例])。ヨーロッパ系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人のゴールの分布はより均等であった。 ・なお、サンプルサイズに限界があるため、文化/人種に特化した結論には至っていない。 関連医療ニュース どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与 統合失調症への抗精神病薬、第一世代vs. 第二世代の注射製剤の効果は 長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Potkin SG, et al. Clin Schizophr Relat Psychoses. 2014 May 20: 1-35. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)