統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/07/02 統合失調症患者にみられる過度な喫煙行動について、米国・ミシガン大学のMika Hirasawa-Fujita氏らによる検討の結果、ミューオピオイド受容体(mu opioid receptor)機能欠損の一塩基遺伝子多型(SNP)が、統合失調症患者における喫煙を増加していることを明らかにした。また同女性患者では、ドパミンD2受容体の変異も喫煙行動の増大に関与していた。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2014年6月20日号の掲載報告。 精神に障害がある人では過度な喫煙がみられるが、その理由については明らかではない。研究グループは、内因性オピオイドやドパミンの作用機序が喫煙行動の強化に関与しているとして、ミューオピオイド受容体(OPRM1)A118G(rs1799971)遺伝子型、ドパミンD2受容体(DRD2)Taq1A(rs1800497)遺伝子型、および性差について検討した。喫煙者および非喫煙者の統合失調症および双極性障害患者を募り、遺伝子型分析を行った。被験者を3群に分類(現在喫煙、過去に喫煙歴あり、喫煙歴なし)し、1日当たりの喫煙本数を主要喫煙パラメーターとして評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・被験者は統合失調症177例、双極性障害113例であった。 ・統合失調症患者では、喫煙率は、予想どおり女性よりも男性で高かったが、1日の喫煙量は女性のほうが多かった(p<0.01)。 ・統合失調症でOPRM1 *G遺伝子型の患者は、AAアレル遺伝子キャリアの患者よりも、1日当たりの喫煙量が多かった(p<0.05)。 ・DRD2 Taq1A遺伝子型についての差は、1日当たりの喫煙本数に影響していなかった。しかし、GGホモ接合DRD2受容体を有している統合失調症の女性では、*A男性喫煙者よりも、喫煙量が多かった(p<0.05)。 ・双極性障害患者では、喫煙状態についてOPRM1、DRD2 Taq1A遺伝子型の差はみられなかった。 ・また双極性障害患者では、性差による喫煙行動の違いもみられなかった。 ・本検討により、統合失調症患者における喫煙行動の増大に、ミューオピオイド受容体機能欠損のSNPが関与していることが示唆された。 ・また、DRD2受容体機能の変異も、女性の統合失調症患者において喫煙行動を増大していることが示唆された。 関連医療ニュース 統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響 統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか うつ病患者への禁煙治療、症状悪化の懸念は 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Hirasawa-Fujita M, et al. Clin Schizophr Relat Psychoses. 2014 Jun 20:1-27. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 小児がん、定期的な症状スクリーニングで苦痛な症状が改善/JAMA(2024/11/21) 米国民の幸福度、国内格差を人間開発指数で解析/Lancet(2024/11/21) エンパグリフロジン投与終了後もCKDの心・腎保護効果が持続、レガシー効果か?(解説:栗山哲氏)(2024/11/21) 心臓MRIによるLGEはLVEFより拡張型心筋症のリスクをより良く予測する(解説:佐田政隆氏)(2024/11/21) 肺動脈性肺高血圧症治療剤ユバンシ配合錠が発売/ヤンセン(2024/11/21) TN乳がんへのサシツズマブ ゴビテカン、販売開始/ギリアド(2024/11/21) ROS1陽性NSCLCへの新たな選択肢レポトレクチニブ、その特徴は?/BMS(2024/11/21) 低リスク肺塞栓症がん患者のVTE再発、リバーロキサバン18ヵ月vs. 6ヵ月(ONCO PE)/AHA2024(2024/11/21) 大腸がん検診、現時点では血液検査よりも大腸内視鏡検査が優れる(2024/11/21) うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法、安定後は継続または中止?(2024/11/21) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)