孤独はSSRIの効果を下げる 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/07/18 米国・ノースカロライナ大学のElyse C Dankosk氏らは、マウスにストレスを与えた場合の選択的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)の効果への影響を検討した。その結果、社会的孤立というストレスを受けているシングルマウスは、ペアで飼育されているマウスよりもSSRIの効果が弱いことなどを報告した。結果を踏まえて著者は、「うつおよび脅迫性障害の治療において、SSRIの効果は現状のストレッサーに依存することが示唆された」とまとめている。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2014年7月1日号の掲載報告。 セロトニン作動系の機能低下は、大うつ病性障害および強迫性障害としばしば関連する。これらの障害に対してはSSRIが一般に処方され、症状改善までに3~6週間の治療が必要となる。SSRIはセロトニントランスポーターを阻害することにより細胞外セロトニン濃度を増加させる。したがって、SSRIの有効性は持続的なセロトニン濃度増加に対する脳の適応反応に依存する傾向にある。SSRI治療に対する個体の反応性は、ストレスをはじめ、これら変化に影響を及ぼす因子によってさまざまである。社会的孤立は、慢性の軽度なストレスを誘発するうえで受動的かつ自然な方法であり、げっ歯類のうつモデルを作成しうる。 本研究は、1匹で飼育されているシングルマウスとペアで飼育しているマウスにおいて、SSRIのシタロプラム(国内未発売;CIT)による20日間の治療が、marble-burying behavior(敷き詰められたおがくずの上のビー玉を埋めて隠そうとする行動)、オープンフィールド行動およびセロトニンシグナルに、いかに影響を及ぼすかを比較検討した。セロトニン誘発電位の測定、放出率の比較、オーバーフロー、クリアランスの測定にin vivoボルタンメトリーを使用した。 主な結果は以下のとおり。 ・ペアで飼育されているマウスは、CIT治療に対し有意な反応性を示し、marble-burying が減少し、電気刺激の頻度に対応するセロトニン放出を促進した。 ・これらCIT治療の効果は、シングルマウスでは弱かった。 ・ペアで飼育されているマウスでは、CIT治療がセロトニン放出を増強させたが、再取り込み率の有意な変化はみられなかった。 関連医療ニュース 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか 抗うつ薬が奏効しないうつ病患者への抗精神病薬追加投与は本当に有効か 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Dankoski EC, et al. Neuropsychopharmacology. 2014 Jul 1. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet(2025/03/07) GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ(2025/03/07) 活動性ループス腎炎に対する新しいタイプの抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/03/07) 抗PD-L1抗体薬、GLP-1薬などに重大な副作用追加/厚労省(2025/03/07) 新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬オザニモド、その特徴は?/BMS(2025/03/07) 治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性(2025/03/07) 硬膜外ステロイド注射は慢性腰痛に効果あり?(2025/03/07) 日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?(2025/03/07) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)