ざ瘡へのスピロノラクトン 高カリウム血症は心配なし?

提供元:ケアネット

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公開日:2015/03/30

 

 ホルモン作用に起因するざ瘡に対して、スピロノラクトンを健康な若年女性に投与したところ、高カリウム血症は増加しなかったことが、米国ハーバード大学ブリガム&ウィメンズ病院のMolly Plovanich氏らにより報告された。JAMA Dermatology誌2015年3月22日号の掲載報告。

 スピロノラクトンは、ホルモン作用に起因するざ瘡の治療オプションとして用いられている(本邦適応外)。本剤投与による高カリウム血症の可能性が示唆されているが、これまで健康な若年女性において、ざ瘡治療を目的としたスピロノラクトンによる高カリウム血症の有病率は不明であった。そこでPlovanich氏らは、ざ瘡またはざ瘡を伴う内分泌異常を有する健康な若年女性において、スピロノラクトン服用による高カリウム血症の有病率を明らかにするため、調査を行った。

 本試験は、2000年12月1日~2014年3月31日の臨床データリポジトリをレトロスペクティブに解析した。外来患者のデータは2ヵ所の3次医療機関より収集された。ざ瘡のためスピロノラクトンを服用している健康な若年女性974例を分析した。さらに、1,165例のスピロノラクトンを服用・未服用の健康な若年女性の集団データから、ベースライン時の高カリウム血症の有病率を求めた。除外基準は、心血管疾患、腎不全、RAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)に影響を与える薬剤の服用であった。

 主要評価項目は、ざ瘡でスピロノラクトンを服用している健康な若年女性における高カリウム血症の有病率であった。副次的評価項目には、スピロノラクトンの患者プロファイルとカリウムモニタリングを含んだ。

 主な結果は以下のとおり。

・スピロノラクトンを服用している女性1,802例中13例で血清カリウム値の異常が認められ、高カリウム血症の有病率は0.72%であった。
・これは、集団ベースにおけるベースライン時の高カリウム血症有病率0.76%と同等であった。
・再検査の結果、13例中6例が正常値を示した。残りの7例の患者では特段の対応は取られなかった。

 ざ瘡でスピロノラクトンを服用している健康な若年女性における高カリウム血症の有病率は、集団ベースの有病率と同等であった。著者らは以上の結果から、これらの患者に対して、日常的なカリウムモニタリングは必要ないと結論付けた。

(ケアネット 森 幸子)