脳卒中発症の時間的なパターンを知り、可能性のあるトリガーを探索することは、脳卒中発症率を減少させるために重要である。脳卒中が特定の曜日に頻繁に発症する場合、何らかの「トリガー因子」が脳卒中を誘発するものと考えられる。京都府医師会脳卒中登録事業委員会では、11年間にわたる病院ベースの脳卒中登録より、曜日による脳卒中発症率の違いを調査した。その結果、脳梗塞においては、年齢・性別にかかわらず日曜日より月曜日のほうが発症率が高かった。著者らは、脳梗塞では発症の「トリガー因子」が存在するという仮説を提案している。BMJ Open誌2015年3月24日号に掲載。
1999年1月~2009年12月の間に京都府全体で1万3,788例の脳卒中患者が特定され、京都府医師会脳卒中登録(KSR)に登録された。脳卒中を発症した曜日に基づいて患者を7グループに分類。曜日ごとの発症率の違いをχ2検定を用いて検討し、さらに日曜日の脳卒中発症率を基準とした各曜日の脳卒中発症のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を多項ロジスティック解析により算出した。
主な結果は以下のとおり。
・脳卒中発症の各曜日のOR(95%CI)は、月曜日1.157(1.030~1.293)、火曜日1.101(0.981~1.236)、水曜日1.059(0.943~1.188)、木曜日1.091(0.972~1.225)、金曜日1.053(0.938~1.205)、土曜日1.074(0.956~1.205)であった。
・脳卒中のサブタイプ別にみると、脳梗塞の発症率は、年齢・性別にかかわらず、日曜日より月曜日のほうが高かった(OR:1.189、95%CI:1.034~1.366、p=0.014)。
・脳出血やくも膜下出血では曜日による差はみられなかった。
・周期的に生じる要因が脳梗塞の発症率に影響を与えると思われ、これは危険因子の長期曝露による累積的影響とは異なるメカニズムを示唆している。
(ケアネット 金沢 浩子)