小児は皮膚炎、喘息および鼻炎に罹患することが多いが、それらの有病率は年齢とともに変化する。また、IgE抗体保有と疾患との関連もよくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のNatalia Ballardini氏らは、感作と疾患との関連を明らかにする目的で、出生コホート研究にて16歳まで追跡された小児を調査した。その結果、特異的IgE抗体は小児期全体における皮膚炎およびアレルギー性疾患の複数罹患と関連していること、また4歳からの喘息および鼻炎と強く関連していたことを報告した。一方で、IgE感作を認める小児の23%が、小児期にいかなる疾患も呈しないことも判明したという。Allergy誌オンライン版2015年10月27日号の掲載報告。
対象は、スウェーデンの出生コホート研究BAMSEに登録された小児2,607例であった。
1~16歳の間6評価時点で、親の報告に基づき皮膚炎、喘息、鼻炎の罹患を確認した。また、4、8、16歳時の採血結果からIgE感作の有無を調査。一般的な食物または吸入アレルゲンに対するアレルゲン特異的IgE≧0.35kUA/Lの場合を感作ありと定義した。
一般化推定方程式を用い、感作による皮膚炎、喘息、鼻炎および複数罹患のオッズ比を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・16歳までに少なくとも1回の感作が報告された小児は、51%であった。
・感作を受けている小児の約4分の1(23%)が、いかなる疾患も有していなかった。
・潜在的な交絡因子を補正後、感作と次の有意な関連が認められた。
(1)小児期全体に及ぶ皮膚炎
(2)1~16歳時の皮膚炎・喘息・鼻炎の複数罹患(オッズ比:5.11、95%信頼区間[CI]:3.99~6.55)
(3)4~16歳における喘息および鼻炎
(ケアネット)