遺伝子で抗うつ効果を予測可能か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/11/26 高齢者うつにおける抗うつ薬による寛解が、モノアミン系および代謝系経路の遺伝子発現プロファイルと関連していることを、オーストラリア・アデレード大学のHarris A. Eyre氏らが、ゲノムワイドの検討により明らかにした。検討は初となるパイロット試験であり、示された結果について著者らは「大規模なサンプルで再現する必要がある」と述べている。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2015年10月15日号の掲載報告。 研究グループは、高齢者うつにおける抗うつ薬反応の予測因子について、メチルフェニデートとcitalopramの無作為化プラセボ対照試験によりゲノムワイド転写プロファイルを調べた。被験者は、高齢大うつ病患者35例。メチルフェニデート+citalopram併用、citalopram+プラセボまたはメチルフェニデート+プラセボに無作為に割り付けた。メチルフェニデート投与量は10~40mg/日、citalopram投与量は20~60mg/日であった。被験者のベースラインと16週時点の末梢血白血球を用いて、ゲノムワイド転写プロファイルを調査した。寛解は、ハミルトンうつ病評価尺度6未満と定義し、治療開始4週時点で同スコアを達成した場合は早期寛解とした。ベースラインで確認した遺伝子発現の差異から抗うつ薬反応を予測可能であると仮定し、検証した。 主な結果は以下のとおり。 ・遺伝子発現の解析は、寛解者24例、非寛解者11例で行われた。 ・ベースラインで、寛解者全例に発現が認められた3つの遺伝子(HLA-DRB5、SELENBP1、LOC388588)を認めた。 ・それらの発現頻度は非寛解者と比べて寛解者では有意に高率で、規定の有意水準を満たした(倍率変化=2、p=0.05)。 ・非寛解者と比べて早期寛解者では、ベースラインにおいて、2つのゲノム転写の発現が高率にみられた。 ・1つは、呼吸機能に関係する8番染色体上のCA1炭酸脱水酵素遺伝子であった(倍率変化=2.54、p=0.03)。もう1つは、ドパミントランスポーター結合に関係するSNCA-α-synuclein遺伝子であった(倍率変化=2.1、p=0.03)。 関連医療ニュース なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか うつ病のリスク遺伝子判明:藤田保健衛生大 うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 (ケアネット) 原著論文はこちら Eyre HA, et al. Int J Geriatr Psychiatry. 2015 Oct 15. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 うつ病の発症、HHV-6が持つ遺伝子SITH-1が関与か:慈恵医大 医療一般 日本発エビデンス(2020/06/12) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] タクシーと救急車の運転手、アルツハイマー病による死亡率低い/BMJ(2024/12/27) 低リスクDCIS、積極的モニタリングvs.標準治療/JAMA(2024/12/27) アルツハイマー型認知症になりたくなければタクシーか救急車の運転手になろう?(解説:岡村毅氏)(2024/12/27) 診療所のマイナ保険証利用率は10%未満の施設が約7割/日医(2024/12/27) 抗精神病薬の多剤併用は50年間でどのように変化したのか(2024/12/27) 心房細動の早期発見、早期介入で重症化を防ぐ/日本心臓財団(2024/12/27) 食品中の果糖はがんの進行を促進する?(2024/12/27) 明晰な頭脳の維持には骨格筋量の維持が重要(2024/12/27) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)