ジカウイルス感染は、2015年にブラジル北東部で流行が確認され、南北アメリカの多くの地域にまで急速に拡大している。最近、新生児の小頭症とこれら小頭症児における視力を脅かす所見が増加していることから、ブラジル・ロベルト サントス総合病院のBruno de Paula Freitas氏らは、胎内感染が疑われる小頭症児の眼所見について調査した。その結果、先天性ジカウイルス感染症は、視力を脅かす眼障害の発生と関連していることを明らかにした。眼障害の多くは、両側性の黄斑および黄斑周囲病変、ならびに視神経異常であった。JAMA Ophthalmology誌5月号(オンライン版2016年2月9日号)の掲載報告。
研究グループは、2015年12月1日~21日の間に、3次病院であるロベルト サントス総合病院に紹介された先天性ジカウイルス感染症とみられる小頭症児(頭囲32cm以下と定義)29例を対象に、全乳児とその母親について全身および眼の検査を行った。
眼は前眼部、網膜、脈絡膜および眼神経異常について広視野デジタル画像処理システムを用いて検査し、血清学的検査および臨床検査にてトキソプラズマ症、風疹、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、梅毒およびヒト免疫不全ウイルス感染症を除外した。
主な結果は以下のとおり。
・母親29例中23例(79.3%)は、妊娠中にジカウイルス感染症が疑われる徴候や症状が報告された。感染時期は、妊娠第1期が18例、妊娠第2期が4例、第3期が1例であった。
・乳児29例58眼(女児18例・62.1%)中、10例(34.5%)17眼(29.3%)に眼の異常が認められた。
・眼異常の多くは、両側性であった(10例中7例)。
・最も多かったのは、網膜の局所色素性斑点形成と網脈絡膜萎縮で、17眼中11眼に認めた。次いで、視神経異常が8眼(47.1%)、両側性虹彩欠損1例(2眼[11.8%])、水晶体亜脱臼1眼(5.9%)の順であった。
(ケアネット)