DPP-4阻害薬は糖尿病網膜症の進行を抑制する!?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2016/06/23

 

 DPP-4阻害薬による糖尿病治療は、糖尿病網膜症の進行に対し血糖コントロールの改善とは独立した防御因子であることを、韓国・亜洲大学校のYoo-Ri Chung氏らが報告した。DPP-4阻害薬の糖尿病網膜症に対する有用性を示した最初の研究であり、著者らは「DPP-4阻害薬の糖尿病網膜症の進行に対する有効性について、無作為化二重盲検プラセボ比較試験によりさらなる評価を行うことを促す予備的データである」とまとめている。Retina誌オンライン版2016年6月9日号の掲載の報告。

 研究グループは、2型糖尿病患者の糖尿病網膜症進行に対するDPP-4阻害薬の効果を糖尿病網膜症重症度スケールに基づいて評価する目的で、2型糖尿病患者82例について2005~15年の医療記録を後ろ向きに調査した。

 眼底写真はETDRSを用いてグレード分類し、ベースラインの危険因子と糖尿病網膜症との関係について調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・糖尿病網膜症が進行した(ETDRSスコアで1以上)のは、DPP-4阻害薬治療群は28例中7例、他の糖尿病治療薬治療群では54例中26例であった。
・DPP-4阻害薬治療についてのみ、傾向スコアマッチング後に糖尿病網膜症の進行が有意に減少することが示された(p=0.009)。
・DPP-4阻害薬による治療は、糖尿病網膜症進行のリスク低下と有意な関連が認められた(p=0.011)。

(ケアネット)