不眠症は、現代社会において蔓延している健康愁訴であるが、過小診断され、治療も不十分である。不眠症のリスクを評価するためのスクリーニングツールとして、不眠症重症度質問票(ISI)、アテネ不眠尺度(AIS)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)が広く用いられているが、診断特性は、体系的にまとまっていない。台湾・台北医学大学のHsiao-Yean Chiu氏らは、不眠症スクリーニングのためのISI、AIS、PSQIの診断制度を評価、比較した。Journal of psychosomatic research誌2016年8月号の報告。
不眠症重症度質問票(ISI)、アテネ不眠尺度(AIS)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を比較
EMBASE、PubMed、PsycINFO、CINAHL、Chinese Electronic Periodic Servicesにおいて、開設から2015年5月20日までのデータを体系的に検索した。18歳超の成人対象者に関するISI、AIS、PSQI の感度、特異性を原著論文で評価した。
ISI、AIS、PSQIの感度、特異性を評価した主な結果は以下のとおり。
・参加者4,693例を含む研究19件が抽出された。
・統合感度(pooled sensitivity)は、ISI:88%(95%CI:0.79~0.93)、AIS:91%(95%CI:0.87~0.93)、PSQI:94%(95%CI:0.86~0.98)であった。
・統合特異性(pooled specificity)は、ISI:85%(95%CI:0.68~0.94)、AIS:87%(95%CI:0.68~0.95)、PSQI:76%(95%CI:0.64~0.85)であった。pooled DORsは、ISI:41.93(95%CI:8.77~200.33)、AIS:67.7(95%CI:23.4~196.1)、PSQI:53(95%CI:15.5~186.2)であった。
・要約推定値は、ISI、AIS、PSQI間で有意な差は認められなかった(すべてp>0.05)。
(鷹野 敦夫)