インスリン療法の脱落理由、日本人における特徴は?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/22

 

 日本の糖尿病患者と医師が認識しているインスリン療法の障壁を調査するために、京都大学の原島 伸一氏らは、8ヵ国が参加したGlobal Attitude of Patients and Physicians in Insulin Therapy(GAPP)スタディのサブ解析を実施した。その結果、インスリン療法を受けている日本人患者の多くが、おそらく低血糖への恐れやライフスタイルのために脱落する、もしくは治療を順守しないことがわかった。著者らは「患者のライフスタイルを妨げず、低血糖リスクを減少させるインスリン療法が必要」としている。Expert opinion on pharmacotherapy誌2017年1月号に掲載。

 GAPPスタディは2010年に実施され、1,250人の医師がインターネット調査に参加し、そのうち日本の医師が100人、また1,530人の患者がコンピュータ利用の電話調査で回答し、日本の患者は150人であった。著者らは、日本人参加者の結果を他の7ヵ国における結果と比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・日本人患者の44%がインスリン療法から脱落または非順守を報告し、他の国より多かった。

・日本人医師は、インスリン治療への非順守は患者のライフスタイルによって引き起こされたと報告している。

・日本では他の国に比べて低血糖の既往のある患者が多かった。

・日本の医師の94%および患者の84%が、現在使用できるインスリン療法のレジメンが患者の多様なライフスタイルに適合しないと回答した。

(ケアネット 金沢 浩子)