NOAC3剤を初めて直接比較したリアルワールド研究~日本循環器学会学術集会

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/04/03

 

 心房細動(AF)における脳卒中予防の進歩をもたらしたNOACであるが、直接比較による有効性のエビデンスはない。 そのような中、米国メイヨークリニックが傾向スコアマッチングでNOAC3剤の有効性と安全性を初めて直接比較した観察研究を行った。第81回日本循環器学会学術集会のミート・ザ・エキスパートでは、当発表の筆頭著者であるPeter A. Noseworthy氏が、この試験結果について詳しく紹介した。

 試験は米国診療報酬請求データベースを用い、2010年10月1日〜2015年2月28日にダビガトラン、リバーロキサバン、またはアピキサバンを使用した非弁膜症性AFを特定し、傾向スコアマッチングした3つのコホートを作成し、分析された。3つのコホートはそれぞれ、リバーロキサバン対ダビガトラン31,574例、アピキサバン対ダビガトラン13,084例、アピキサバン対リバーロキサバン13,130例であった。試験の主要有効性評価項目は脳卒中および全身性塞栓症の発症、主要安全性評価項目は重大な出血であり、 Cox比例ハザードモデルを用いて評価された。

 脳卒中・全身塞栓症のイベントリスクについては、リバーロキサバン1.12(人年)対ダビガトラン1.03(HR:1.00、95%CI:0.75~1.32、p=0.99)、アピキサバン1.22対ダビガトラン1.17(HR:0.82、95%CI:0.51~1.31、p=0.41)、アピキサバン1.21対リバーロキサバン1.03(HR:1.05、95%CI:0.64~1.72、p=0.85)と、3つのNOAC間に差は認められなかった。一方、重大な出血リスクについては、リバーロキサバン対ダビガトラン(HR:1.30、95%CI:1.10~1.53、p<0.01)、アピキサバン対ダビガトラン(HR:0.50、95%CI:0.36~0.70、p<0.001 )、アピキサバン対リバーロキサバン(HR:0.39、95%CI:0.28~0.54、p<0.001)と、薬剤間での違いが示された。

 また、この試験ではNOACのアンダードーズとオーバードーズの傾向と、それがアウトカムに及ぼす影響も分析している。アウトカムへの影響は、とくにアピキサバン投与患者で大きく表れ、アンダードーズでは脳卒中・全身性塞栓症のイベントが増加(p=0.02)し、オーバードーズでは重大な出血イベントが増加(p=0.03)していた。

(ケアネット 細田 雅之)