SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/04/05 うつ病では、しばしば通常治療により耐性が生じることがある。また、うつ病患者は、言語流暢性テスト(verbal fluency test:VFT)に関連する近赤外線分光法(NIRS)において、前頭側頭皮質の機能低下を示している。大分大学の増田 幸司氏らは、未治療のうつ病患者に対する薬物治療反応が、初期調査のNIRSアウトカムにより予測可能かを検討した。Journal of affective disorders誌2017年5月号の報告。 すべての対象者に心理テストを行い、不安と抑うつレベルを評価した。VFTを用いて前頭側頭葉の機能を調べた。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を12週間投与した。対象者は、SSRIレスポンスうつ病患者(レスポンス群)28例、非レスポンスうつ病患者(非レスポンス群)19例および、年齢、性別、教育年数にマッチした健常対照者(対照群)63例とした。 主な結果は以下のとおり。 ・前頭側頭部において、血行動態レスポンスは、治療前の対照群と比較して、レスポンス群と非レスポンス群で有意に小さいことが示された。 ・内側前頭部において、血行動態レスポンスは、治療前の非レスポンス群と比較して、レスポンス群で有意に大きいことが示された。 ・うつ病患者は、いくつかの尺度で健常群と比較して、不安および抑うつ状態が有意に高かった。 ・レスポンス群と非レスポンス群は、DACS(Depression and Anxiety Cognition Scale:抑うつや不安を引き起こす自動思考測定)の将来否定、脅威予測、自己否定、過去否定、対人関係脅威度のスコアが有意に高かった。 ・ステップワイズ回帰分析では、Post-POMSの混乱の項目が、レスポンスの独立した予測因子であった。 著者らは「対象者数が少ないため、今後の研究では人数を増やす予定である。NIRSは空間分解能を低下させ、NIRS単独使用時の測定位置の識別をわかりにくくさせる」としながら、「認知機能の脆弱性は、SSRI治療レスポンスの予測因子と関連している。前頭側頭皮質における異なる血行動態活動は、うつ病におけるSSRIに対するレスポンスを予測する」としている。 関連医療ニュース SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較 うつ病の治療抵抗性と寛解を予測する因子とは 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Masuda K, et al. J Affect Disord. 2017;214:44-52. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 SSRI、インスリン抵抗性から糖尿病への移行を加速! 疫学(危険因子)(2013/01/31) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)