認知スペクトラム障害、入院患者の有病率と死亡率 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/08/22 入院中の高齢者では、さまざまな認知機能障害が一般的にみられるが、これまでの研究では高度に選択された群の単一条件に焦点を当てており、アウトカムとの関連性を調査することはまれであった。英国・スターリング大学のEmma L. Reynish氏らは、65歳以上の救急入院患者を対象とした大規模で非選択的なコホート研究において、認知機能障害の有病率およびアウトカムを調査した。BMC medicine誌2017年7月27日号の報告。 対象は、2012年1月~2013年6月までに総合病院急性期病棟へ入院し、構造化された専門看護師による評価を受けた65歳以上の患者1万14例。せん妄、既知の認知症、Abbreviated Mental Test(AMT)スコア10点中8点未満の組み合わせを「認知スペクトラム障害(CSD)」と定義した。入院期間、死亡率、再入院に関するデータとアウトカムとの関連性を検討した。 主な結果は以下のとおり。 ・CSDは、65歳以上の全入院患者の38.5%で認められ、85歳以上では半数以上であった。 ・内訳は、せん妄のみ16.7%、既知の認知症に併発したせん妄7.9%、既知の認知症のみ9.4%、不特定の認知機能障害(AMTスコア8点未満、せん妄なし、既知の認知症なし)4.5%であった。 ・認知症患者の45.8%は、せん妄を併発していた。 ・CSD患者は、非CSD患者と比較し、アウトカムが悪化していた(入院期間:25.0日 vs.11.8日、30日死亡率:13.6% vs.9.0%、1年死亡率:40.0% vs.26.0%、1年死亡または再入院:62.4% vs.51.5%、いずれもp<0.01)。 ・CSDタイプによる差は比較的小さかったが、認知症にせん妄を併発した患者では入院期間が最も長く、認知症患者の1年死亡率は最も高かった。 著者らは「CSDは高齢入院患者では一般的に認められ、アウトカムの悪化とかなり関連しており、CSDのタイプによる差はほとんどない。医療システムは、医療における緊急事態とみなされたCSD高齢患者のケア手法を体系的に検討し開発すべきであり、認知症もしくはせん妄だけといったような特定の症状にのみ焦点を当てることは避けるべきである」としている。 ■関連記事 せん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているか せん妄ケアの重要性、死亡率への影響を検証 アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の安全性、専門家による評価 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Reynish EL, et al. BMC Med. 2017;15:140. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 2型DMの血糖コントロールなど、予測モデルによる治療最適化で改善/Lancet(2025/03/10) 切除不能進行胃がん1次治療、sugemalimab追加でOS・PFS改善(GEMSTONE-303)/JAMA(2025/03/10) リファンピシン耐性キノロン感性結核に対する経口抗菌薬(解説:寺田教彦氏)(2025/03/10) TTF-1陰性Non-Sq NSCLCに対するアテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル(LOGIK2102)/日本臨床腫瘍学会(2025/03/10) 統合失調症の認知機能改善に対するメトホルミンの有用性(2025/03/10) EBウイルスが腎移植後のリンパ増殖性疾患に関与(2025/03/10) うつ病歴は慢性疾患の発症を早める(2025/03/10) 症状を電子的に報告するシステムががん患者の症状管理やQOLを改善(2025/03/10) 「善玉」コレステロールは緑内障リスクを高める?(2025/03/10) [ あわせて読みたい ] 救急エコー最速RUSH! (2017/07/07) 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07) Dr.水野のうたう♪心音レクチャー (2017/05/07) Dr.林の笑劇的救急問答12<下巻>(2017/02/07) スーさんの急変エコー 裏ワザ小ワザ (2017/01/07) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【神経内科編】(2016/12/07) Dr.林の笑劇的救急問答12<上巻>(2016/10/07) 総合内科専門医試験対策 “苦手”科目をクイック復習 2016 (2016/07/29) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.4(2016/06/07)