魚油を補充した地中海スタイルの食事が、うつ病成人患者のメンタルヘルスを改善できるかについて、南オーストラリア大学のNatalie Parletta氏らが、検討を行った。Nutritional neuroscience誌オンライン版2017年12月7日号の報告。
自己報告のうつ病成人患者を、2週間に1回の食料提供・3ヵ月間の地中海スタイル食の調理ワークショップ参加・6ヵ月間の魚油補充を実施した群(地中海食介入群)と対照群にランダムに割り付けた。メンタルヘルス、QOL、食物アンケート、赤血球脂肪酸分析のための血液サンプルの評価を、ベースラインおよび3ヵ月、6ヵ月の時点に実施した。
主な結果は以下のとおり。
・対象は18~65歳の152例(地中海食介入群:75例、対照群77例)。
・対象患者のうち、3ヵ月の評価では95例(地中海食介入群:54例、対照群41例)、6ヵ月での評価は85例(地中海食介入群:47例、対照群38例)が試験を完了した。
・3ヵ月の時点で、地中海食介入群は以下の結果であった。
●地中海食スコアが高い(t=3.95、p<0.01)
●野菜の消費が多い(t=3.95、p<0.01)
●フルーツの消費が多い(t=2.10、p=0.04)
●ナッツの消費が多い(t=2.29、p=0.02)
●マメ科植物の消費が多い(t=2.41、p=0.02)
●全粒粉の消費が多い(t=2.63、p=0.01)
●野菜が多様である(t=3.27、p<0.01)
●スナック菓子の消費が少ない(t=-2.10、p=0.04)
●赤身・鶏肉の消費が少ない(t=-2.13、p=0.04)
●うつ病スコアの減少(t=-2.24、p=0.03)
●メンタルヘルスQOLスコアの改善(t=2.10、p=0.04)
・改善された食事とメンタルヘルスは、6ヵ月間持続した。
・うつ病の減少は、地中海食スコア(r=-0.298、p=0.01)、ナッツの消費(r=-0.264、p=0.01)、野菜の多様性(r=-0.303、p=0.01)との相関が認められた。
・他のメンタルヘルスの改善においても、同様な相関が認められ、野菜の多様性とマメ科植物消費の増加において最も顕著であった。
・ω3脂肪酸の増加、ω6脂肪酸の減少、メンタルヘルス改善との間には、いくつかの相関が認められた。
著者らは「本試験は、健康的な食事へ変更することは達成可能であること、および魚油の補充はうつ病患者のメンタルヘルスを改善できることを示す、最初のランダム化比較試験の1つである」としている。
■関連記事
うつ病リスクが低下する日本人に適切な魚類の摂取量は
魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大
うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効?
(鷹野 敦夫)