うつ病患者に対する地中海スタイルの食事介入に関するランダム化比較試験 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/01/15 魚油を補充した地中海スタイルの食事が、うつ病成人患者のメンタルヘルスを改善できるかについて、南オーストラリア大学のNatalie Parletta氏らが、検討を行った。Nutritional neuroscience誌オンライン版2017年12月7日号の報告。 自己報告のうつ病成人患者を、2週間に1回の食料提供・3ヵ月間の地中海スタイル食の調理ワークショップ参加・6ヵ月間の魚油補充を実施した群(地中海食介入群)と対照群にランダムに割り付けた。メンタルヘルス、QOL、食物アンケート、赤血球脂肪酸分析のための血液サンプルの評価を、ベースラインおよび3ヵ月、6ヵ月の時点に実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は18~65歳の152例(地中海食介入群:75例、対照群77例)。 ・対象患者のうち、3ヵ月の評価では95例(地中海食介入群:54例、対照群41例)、6ヵ月での評価は85例(地中海食介入群:47例、対照群38例)が試験を完了した。 ・3ヵ月の時点で、地中海食介入群は以下の結果であった。 ●地中海食スコアが高い(t=3.95、p<0.01) ●野菜の消費が多い(t=3.95、p<0.01) ●フルーツの消費が多い(t=2.10、p=0.04) ●ナッツの消費が多い(t=2.29、p=0.02) ●マメ科植物の消費が多い(t=2.41、p=0.02) ●全粒粉の消費が多い(t=2.63、p=0.01) ●野菜が多様である(t=3.27、p<0.01) ●スナック菓子の消費が少ない(t=-2.10、p=0.04) ●赤身・鶏肉の消費が少ない(t=-2.13、p=0.04) ●うつ病スコアの減少(t=-2.24、p=0.03) ●メンタルヘルスQOLスコアの改善(t=2.10、p=0.04) ・改善された食事とメンタルヘルスは、6ヵ月間持続した。 ・うつ病の減少は、地中海食スコア(r=-0.298、p=0.01)、ナッツの消費(r=-0.264、p=0.01)、野菜の多様性(r=-0.303、p=0.01)との相関が認められた。 ・他のメンタルヘルスの改善においても、同様な相関が認められ、野菜の多様性とマメ科植物消費の増加において最も顕著であった。 ・ω3脂肪酸の増加、ω6脂肪酸の減少、メンタルヘルス改善との間には、いくつかの相関が認められた。 著者らは「本試験は、健康的な食事へ変更することは達成可能であること、および魚油の補充はうつ病患者のメンタルヘルスを改善できることを示す、最初のランダム化比較試験の1つである」としている。 ■関連記事 うつ病リスクが低下する日本人に適切な魚類の摂取量は 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効? (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Parletta N, et al. Nutr Neurosci. 2017 Dec 7. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 うつ病治療と食事パターン 医療一般(2018/10/23) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)