うつ病成人の自殺傾向に対するSSRIの影響

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2018/03/20

 

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、自殺念慮を誘発または悪化させることがあると報告されている。スウェーデン・ヨーテボリ大学のJakob Naslund氏らは、ハミルトンうつ病評価尺度(HRSD)の自殺傾向の項目を基準に、SSRIの影響について評価を行った。The British journal of psychiatry誌2018年3月号の報告。

 対象は、セルトラリン、パロキセチン、citalopramの業界出資研究(industry sponsored study)に参加したうつ病成人。患者レベルのメガ解析を実施し、SSRI群5,681例およびプラセボ群2,581例を比較し、HRSDで自殺傾向率の評価を行った。また、18~24歳の若年成人(537例)と25歳以上の成人(7,725例)に分けて、それぞれ分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・25歳以上の成人において、SSRI群では平均自殺傾向率が大きく低下し、第1週目以降にSSRI投与を受けた患者で自殺傾向の悪化リスクは低かった。
・若年成人において、SSRI群ではプラセボ群と比較し、エンドポイントにおける自殺傾向率の違いは認められなかった。

 著者らは「自殺傾向に対するSSRIの影響は、25歳以上のうつ病患者において有益であり、18~24歳の患者では中立的であった」としている。

■関連記事
自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は?
大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか?
小児の自殺企図リスク、SSRI/SNRI間で差はあるか

(鷹野 敦夫)