うつ病に関する理解とスティグマの調査 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/05/22 うつ病による負荷は、世論、スティグマ、そしてその結果として生じる行動から影響を受ける。うつ病患者やその周囲に関する知識の欠如、誤解、スティグマは、彼らのメンタルヘルスを改善するうえで障壁となっている。筑波大学の横谷 省治氏らは、うつ病に関する世論、とくに認知、治療法、スティグマについて調査を行った。Journal of clinical medicine research誌2018年3月号の報告。 年1回の健康診断の受診者を対象に、自己管理アンケートを配布し、次の4つの短い設問への合致を調査した。(1)「明るく行動する人では、うつ病を心配する必要はない」(うつ病患者の行動に関する誤解)、(2)「うつ病の治療に休息は重要である」(休息の必要性に関する理解)、(3)「うつ病治療に医療は有効である」(薬物療法の有効性に関する理解)、(4)「弱い人格がうつ病を引き起こす」(うつ病の原因に関するスティグマ)。そして、これらの考えと、健康リテラシー、外来診療への定期的な通院、うつ病歴、人口統計的変数などの因子との関連についても分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・回答者は1,085例、回答率は75.0%であった。 ・各設問に対し、適切な回答を行った割合は、(1)54.5%、(2)75.6%、(3)58.9%、(4)70.8%であった。 ・うつ病の原因に関するスティグマについて、弱い人格がうつ病を引き起こすと回答した割合は30.7%であった。 ・女性および若者は、適切な回答と関連が認められた。 ・健康リテラシーは、薬物療法の有効性に関する適切な理解とのみ、関連が認められた。 著者らは「本調査では、実に30%が、弱い人格がうつ病を引き起こすと考えていた。また、うつ病の薬物療法の有効性については、58.9%しか認識されていなかった。70%超は休息の必要性を理解しており、明るく行動する人でもうつ病になる可能性があることを認知していた。一般的な健康リテラシーだけでは、うつ病に関する知識や理解が深まるとは限らない。うつ病へのスティグマの減少と、うつ病治療に関する知識の向上のための、教育的介入またはキャンペーンが必要である」としている。 ■関連記事 うつ病患者とかかりつけ医、認識のギャップが浮き彫りに 統合失調症への偏見は軽減されたのか:東京大学 呼称変更により統合失調症患者へのスティグマは減少したのか:日本医科大学 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yokoya S, et al. J Clin Med Res. 2018;10:202-209. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、最終OS結果(KEYNOTE-522)/NEJM(2024/09/27) 複雑病変へのPCI、OCTガイドvs.血管造影ガイド/Lancet(2024/09/27) 重症インフルエンザに対する抗ウイルス薬の有効性(解説:小金丸博氏)(2024/09/27) 転移を有するホルモン感受性前立腺がん、ダロルタミド+ADTがrPFS改善(ARANOTE)/ESMO2024(2024/09/27) 日本人治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療の有用性~二重盲検ランダム化比較試験(2024/09/27) サシツズマブ ゴビテカン、トリプルネガティブ乳がんに承認/ギリアド(2024/09/27) アミバンタマブ、化学療法との併用でEGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに承認/ヤンセン(2024/09/27) 患者満足度向上対策をクリニックの6割が実施/医師1,000人アンケート(2024/09/27) 肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024(2024/09/27) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)