切除後の膵臓がんでは、術後補助化学療法を行ったにもかかわらず、7割の患者が2年以内に再発するとされる。そのため、より良好な成績の術後補助化学療法が求められている。この術後化学療法として、フルオロウラシルのボーラス投与を省いたmodified FOLFIRINOX(mFOLFIRINOX)療法とゲムシタビン単剤療法を比較した第III相試験PRODIGE 24/CCTG PA.6が行われ、その結果をフランス・Institut de Cancérologie de LorraineのThierry Conroy氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。
試験の登録患者はR0、R1切除施行、術後12週間以内の腫瘍マーカーが180U/mL未満で化学療法、放射線療法の治療歴のないPS 0~1の膵がん患者。患者は、mFOLFIRINOX(オキサリプラチン85mg/m2、レボホリナート200mg/m2、イリノテカン180mg/m2、フルオロウラシル2,400mg/m246時間持続投与)を2週間ごと最大12サイクル施行したmFOLFIRINOX群と、ゲムシタビン1,000mg/m2を3または4週間ごとを最大6サイクル施行するゲムシタビン群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は無病生存期間(DFS)、副次評価項目は毒性、全生存期間(OS)、3年時点のがん特異的生存率(SS)、無転移生存期間(MFS)とした。
2012年4月~2016年10月に493例が登録され、mFOLFIRINOX群は247例、ゲムシタビン群は246例であった。追跡期間中央値は33.6ヵ月。
DFS中央値は、mFOLFIRINOX群が21.6ヵ月(17.7~27.6)、ゲムシタビン群が12.8ヵ月(11.7~15.2ヵ月)と、mFOLFIRINOX群で有意に延長した(HR:0.58、95%CI:0.46~0.73、p<0.0001)。
OS中央値は、mFOLFIRINOX群が54.4ヵ月(41.8ヵ月~未達成)、ゲムシタビン群が35.0ヵ月(28.7~43.9ヵ月)(HR:0.64、95%CI:0.48~0.86、p=0.003)。MFS中央値はmFOLFIRINOX群が30.4ヵ月(21.7~未達成)、ゲムシタビン群が17.7ヵ月(14.2~21.5)で(HR:0.59、95%CI:0.46~0.75、p<0.0001)、OS、MFSともにmFOLFIRINOX群で有意に長かった。3年時SSはmFOLFIRINOX群が66.2%、ゲムシタビン群が51.2%と、mFOLFIRINOX群で有意に高かった(HR:0.63、95%CI:0.47~0.85、p=0.003)。
血液関連有害事象の発現は、顆粒球減少と好中球減少ともに両群間で差はなかったが、2次予防のためと思われるG-SCFの投与はmFOLFIRINOX群で有意に多かった。非血液関連有害事象の発現は、下痢、末梢神経障害、疲労感、嘔吐、粘膜炎がmFOLFIRINOX群では有意に多かった。
Conroy氏は「mFOLFIRINOX療法はゲムシタビン単独と比べ毒性は強いものの、管理可能で安全なレジメンであり、PSが良好な膵がん患者での術後補助化学療法の新たな標準治療選択肢として考慮すべきである」との見解を表明した。
■参考
ASCO2018 Abstract
PRODIGE 24/CCTG PA.6試験(Clinical Trials.gov)
※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら
(ケアネット)