過敏性腸症候群は炎症性腸疾患よりもうつ病が重症化しやすい

提供元:ケアネット

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公開日:2018/07/26

 

 過敏性腸症候群(IBS)患者は炎症性腸疾患(IBD)患者と比べて併存しているうつ病や不安の重症度が高いことが、中国・中日友好医院のQin Geng氏らの研究によって明らかになった。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2018年5月4日号に掲載。

過敏性腸症候群のうつ病は炎症性腸疾患と比べて重症度が高い

 IBSやIBDといった慢性胃腸疾患の患者では、うつ病が併存している割合が高いが、IBSとIBDで一貫性のある結果は認められていない。そのため、本研究では、IBSおよびIBD患者におけるうつ病の有病率や重症度について検討した。

 PubMed、PsycINFO、Embase、Cochrane Library、Wan Fang、SinoMed、Chinese National Knowledge Infrastructureを使用して、2017年9月12日までのデータについて体系的な文献探索を行い、比較解析のためのIBS患者とIBD患者を抽出した。さらに、ランダム効果モデルによって併存したうつ病の標準化平均差(standardized mean difference:SMD)とオッズ比を算出したほか、今回の解析に用いた研究から併存した不安に関するデータを抽出し、メタ解析を行った。メタ解析の質の評価はNewcastle-Ottawa Scale(NOS)を用いて行った。

 過敏性腸症候群患者と炎症性腸疾患患者のうつ病の有病率や重症度を検討した主な結果は以下のとおり。

・IBS患者1,244名とIBD患者1,048名が22件の研究から抽出された。
・うつ病の有病率は、IBS群とIBD群で有意差はなかった(研究数10件、OR=1.18、95%CI:0.87~1.60、p=0.29)。
・IBS群は、IBD群と比べて、以下の症状の重症度が高かった。
 うつ病(pooled SMD=0.18、95%CI:0.04~0.33、p=0.01)
 不安(pooled SMD=0.31、95%CI:0.14~0.49、p=0.0006)
・22件中16件の研究が、NOSにより「質が高い」と評価された。

(ケアネット 生島 智樹)