2018年9月12日、日本医師会は、先日の平成30年北海道胆振東部地震災害対策について記者会見を行った。中川 俊男氏(同会副会長)と石川 広巳氏(同会常任理事)を中心に、災害当日からの活動内容と今後の対策について語られた。
初の「先遣JMAT(日本医師会災害医療チーム)」運用から活動開始
・9月6日
3時07分 北海道胆振東部地震発生
3時19分 都道府県医師会に対し、災害時情報共有システムを通して情報提供を要請
6時15分 北海道医師会 災害対策本部を設置
11時54分 日本医師会 災害対策本部(本部長:横倉 義武氏/本会会長)を設置
・9月7日
15時00分 長瀬 清氏(北海道医師会長)をリーダーとする先遣JMATが苫小牧医師会を訪問
・9月8日
20時30分 北海道医師会、DMAT医療救護調整本部よりJMAT2隊の派遣要請を受け、手稲渓仁会病院・勤医協中央病院のチーム派遣を決定
・9月9日
10時28分 JMATが随時被災地に到着し、DMATから引き継ぎを受けて活動開始
9月11日現在、JMATはむかわ町に5グループ派遣されており、待機が1グループ。先遣JMATの活動は終了している。派遣されたメンバーの内訳は、医師8名、看護職員6名、薬剤師3名、他医療関係者4名、事務職員5名の計26名。
いつ発生するかわからない地震に備え、停電への対策を
石川氏は、「今回の地震で物流が大打撃を受け、ライフラインの重要さを改めて感じた」と語り、一時北海道の全域が停電したことに触れ、「現状の医療は電力に頼らざるをえないが、停電時の選択肢を多く備えておくことが重要だ。自家発電がないような診療所などでは、自前で訓練を行っているところもあるので、見習って取り組んでほしい」と強調した。
※JMATの目的と運用について
JMATは、被災者の生命及び健康を守り、被災地の公衆衛生を回復し、地域医療の再生を支援することを目的とする災害医療チームである。災害発生時、被災地の都道府県医師会の要請に基づく日本医師会からの依頼により、全国の都道府県医師会が、郡市区医師会や医療機関などを単位として編成する。日本医師会の直接的な災害対応能力とする。
活動内容は、主に災害急性期以降における避難所・救護所等での医療や健康管理、被災地の病院・診療所への支援(災害前からの医療の継続)である。さらに、医療の提供という直接的な活動にとどまらず、避難所の公衆衛生、被災者の栄養状態や派遣先地域の医療ニーズの把握と対処から、被災地の医療機関への円滑な引き継ぎまで、多様かつ広範囲におよぶ。
■参考
公益社団法人日本医師会 防災業務計画
公益社団法人日本医師会 防災業務計画 JMAT要綱
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