カフェインには血管拡張抑制作用や免疫抑制作用があることが知られている。この作用は酒さのリスクを低下させるが、コーヒーの熱が酒さの紅潮を引き起こす可能性もある。しかし、酒さとコーヒーなどによるカフェイン摂取との関連性については、よくわかっていない。中国・青島大学のSuyun Li氏らは、看護師健康調査II(Nurses' Health Study II:NHS II)のデータを解析し、コーヒーからのカフェイン摂取量が酒さの発症リスクと逆相関していたことを明らかにした。著者は、「今回の結果は、酒さを予防する手段として、カフェインの摂取制限を支持するものではない。カフェインがもたらす作用機序を解明し、他の集団でも同じ結果が観察されるか、酒さのサブタイプでカフェインとの関係性が異なるのかについて、さらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年10月17日号掲載の報告。
研究グループは、1989年に設定されたNHS IIの参加者8万2,737例の女性を対象とした前向きコホート研究を、1991~2005年の期間に隔年で追跡調査し、コーヒー、茶、ソーダおよびチョコレートの摂取に関するデータを4年ごとに収集した。医師による酒さの診断歴および診断年に関する情報を2005年に収集し、2017年6月~2018年6月にすべてのデータの解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・8万2,737例の女性が2005年のNHS IIにおける酒さ診断に関する質問に回答し、最終解析に組み込まれた(参加時の平均年齢[±SD]は50.5±4.6歳)。
・112万51人年の追跡調査中に4,945例の酒さ発症例を特定した。
・リスク因子で補正後、カフェイン摂取量と酒さリスクは逆相関の関係にあることが示された(カフェイン摂取量の最高五分位vs.最低五分位のハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.69~0.84、傾向のp<0.001)。
・酒さリスクとの有意な逆相関は、カフェイン含有のコーヒーを摂取した例で観察された(1日に4杯以上vs.1ヵ月で1杯未満のHR:0.77、95%CI:0.69~0.87、傾向のp<0.001)。ところが、ノンカフェインコーヒーを摂取した例では観察されなかった(HR:0.80、95%CI:0.56~1.14、傾向のp=0.39)。
・コーヒー以外の食品(茶、ソーダ、チョコレート)によるカフェイン摂取量の増加は、酒さリスクの低下に有意な関連を示さなかった。
(ケアネット)