地域住民を対象としたクラミジア・トラコマチス(CT)感染症の研究は、特異的な感染対策プログラムを計画するうえで不可欠である。しかし、2000年以降、中国本土の一般住民におけるCT感染症の大規模調査は行われていなかった。そこで中国・山東大学のPengcheng Huai氏らは、山東省の18~49歳の住民を対象にCT感染症の有病率、リスク因子およびCT感染症に関連する医療費について調査した。その結果、女性では35歳未満、男性では25歳未満で有病率が高いことが明らかになった。著者は、「CT感染症対策プログラムは、リスク因子を有する人々と同じように、この年齢集団にも焦点を当てるべきである」とまとめている。BMC Infectious Diseases誌2018年10月26日号掲載の報告。
研究グループは、2016年5~8月に8,074例を対象とし、多段抽出法を用いて調査を実施した。対面インタビューと自己記入形式のアンケートを行い、対象者のデータを収集した。初尿を採取し、核酸増幅検査を用いてCTおよび淋菌(NG)を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・CT感染症の加重有病率は、女性で2.3%(95%信頼区間[CI]:1.5~3.2)、男性で2.7%(95%CI:1.6~3.8)だった。
・CT感染症有病率が最も高かった年代は、女性では30~34歳(3.5%、95%CI:2.6~4.4)、男性では18~24歳(4.3%、95%CI:0.0~8.8)であった。
・NG感染症の有病率は、女性で0.1%(95%CI:0.0~0.3)、男性で0.03%(95%CI:0.0~0.1)だった。
・女性におけるCT感染症のリスク因子は、未婚、離婚または死別(オッズ比[OR]:3.57、95%CI:1.54~8.24)、生涯の性交渉相手が2人以上(OR:3.72、95%CI:1.14~12.16)だった。
・男性では、20歳以前の性交渉(OR:1.83、95%CI:1.10~3.02)、生涯の性交渉相手が2人以上(OR:1.85、95%CI:1.14~3.02)が、CT感染症と関連していた。
・山東省の18~49歳のCT感染症患者における生涯の推定費用は、2016年時点で2億7,300万中国人民元(範囲:1億7,200万~3億7,400万元)であった。
(ケアネット)