高齢うつ病患者における抗うつ薬の服薬アドヒアランス

提供元:ケアネット

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公開日:2019/01/07

 

 うつ病は高齢者において多く認められ、その治療にあたっては、抗うつ薬が一般的に使用される。オランダ・フローニンゲン大学のFloor Holvast氏らは、プライマリケアでの高齢うつ病患者における抗うつ薬の服薬アドヒアランスについて調査を行った。Family Practice誌オンライン版2018年11月5日号の報告。

 オランダの保健サービス研究機関(Netherlands Institute for Health Services Research:NIVEL)プライマリケアデータベースより、2012年のうつ病と診断された60歳以上の患者を抽出した。初回投与から14日以内に服薬していない場合を「非開始(non-initiation)」、投与量のカバー率が80%未満の場合を「投与量非遵守(suboptimal implementation)」、初回投与から294日以内に中止していた場合を「非持続(non-persistence)」と定義した。初めに、抗うつ薬の非開始、投与量非遵守、非持続の割合を調査した。次いで、共存疾患および慢性的な薬物使用がノンアドヒアランスと関連しているかを、非開始および投与量非遵守を従属変数とした混合効果ロジスティック回帰分析、時間と非持続についてのクラスターCox回帰分析で検討を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・それぞれの割合は、非開始が13.5%、投与量非遵守が15.2%、非持続が37.1%であった。
・慢性的に使用されている薬剤数が増加すると、投与量非遵守(オッズ比:0.89、95%信頼区間[CI]:0.83~0.95)および非持続(ハザード比:0.87、95%CI:0.82~0.92)の割合が減少した。

 著者らは「プライマリケアでの高齢うつ病患者における抗うつ薬の服薬アドヒアランスは、低いことが確認された。患者が多くの薬剤を服薬することに慣れている場合には、服薬アドヒアランスは良好であったが、これは部分的な影響であり、あくまで服薬アドヒアランスが低いことに注意を払う必要がある。抗うつ薬による最適な治療期間の遵守が重要であることを強調することが、アドヒアランスを改善するための第1歩かもしれない」としている。

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(鷹野 敦夫)