スペイン・バルセロナ大学のIrene Alvarez-Tomas氏らは、成人臨床患者における境界性パーソナリティ障害(BPD)の長期臨床経過に関するプロスペクティブ研究の初めてのメタ解析を実施した。European Psychiatry誌オンライン版2018年12月23日号の報告。
1990~2017年の報告をMedline、PsycINFO、PsycArticles、PubMed、Scopusよりシステマティックに検索した。包括基準は、検証済みの半構造化面接によってBPDと診断された成人患者が対象、アウトカムのプロスペクティブ評価が2つ以上、フォローアップ期間が5年以上とした。エビデンスの質は、SAQOR(Systematic Assessment of Quality in Observational Research)を用いて評価した。BPD診断から寛解、自殺完遂、うつ症状、機能の4つのアウトカムについて、混合効果法を用いてメタ解析を行った。自然経過および初回治療に関する潜在的な調整因子を検討した。
主な結果は以下のとおり。
・包括基準を満たした研究は11件、9ヵ国から837例をフォローした。
・BPD患者の長期寛解達成率は、50~70%であった。
・うつ症状や機能障害の有意な減少も認められた。
・平均自殺率は、2~5%であった。
・より高い寛解率は、若年患者において関連が認められた。
・機能改善の低さは、女性において相関が認められた。
・治療の調整因子と長期アウトカムの間には、いくつかの傾向は認められたものの、有意な関連性は認められなかった。
著者らは「BPDの経過は、長期的な症状改善と少しの機能改善を特徴としていることが示唆された。年齢および性別は、長期予後に影響し、治療リソースを最適化するために考慮されるべきである。心理療法的介入に関する長期的な影響を評価するためには、さらなる研究が必要である」としている。
(鷹野 敦夫)