メマンチンと抑肝散との薬物相互作用に関する基礎研究 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/01/24 アルツハイマー病の治療においては、コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチン(MEM)、または抑肝散(YKS)などの認知症患者の行動と心理症(BPSD)治療に用いられる伝統的な漢方薬が使用される。株式会社ツムラのTakashi Matsumoto氏らは、MEMとYKSとの薬物相互作用(DDI)を明らかにするための研究の一環として、いくつかの基礎的な薬物動態学的および薬理学的研究を実施した。Molecules誌2018年12月29日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・薬物動態学的研究では、MEM単独とMEM+YKSで治療したマウスにおいて、血漿、脳、尿中のメマンチン濃度に統計学的に有意な差が認められなかった。 ・YKSの有効成分に関して、YKS単独マウスまたはMEM+YKSマウスにおいて、血漿、脳、尿中のゲイッソシジンメチルエーテル濃度、血漿中のグリチルレチン酸濃度、尿中のイソリキリチゲニン濃度に統計学的に有意な差が認められなかった。 ・薬理学的研究では、初代培養ラットの皮質ニューロンにおいて、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗作用を有するイソリキリチゲニンは、NMDA誘導細胞内Ca2+流入に対するMEM阻害作用に影響を及ぼさなかった。 ・YKSは、マウスにおけるNMDA誘発性学習・記憶障害に対するMEMの改善効果またはMEMによる活動性の低下のいずれにも影響を及ぼさなかった。 著者らは「本結果は、マウスにおいてMEMとYKSとの間に薬物動態学的または薬理学的相互作用がないことを示唆しているが、今後さらなる研究が必要とされる」としている。 ■関連記事 日本人アルツハイマー病に対するメマンチンのメタ解析 アルツハイマー病治療薬メマンチンの有効性と安全性 治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Matsumoto T, et al. Molecules. 2018 Dec 29. pii:E115. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 メマンチン補助療法の精神疾患に対する有効性をメタ解析 医療一般(2019/06/28) 治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学 医療一般 日本発エビデンス(2014/06/25) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet(2025/03/07) GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ(2025/03/07) 活動性ループス腎炎に対する新しいタイプの抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/03/07) 抗PD-L1抗体薬、GLP-1薬などに重大な副作用追加/厚労省(2025/03/07) 新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬オザニモド、その特徴は?/BMS(2025/03/07) 治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性(2025/03/07) 硬膜外ステロイド注射は慢性腰痛に効果あり?(2025/03/07) 日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?(2025/03/07) [ あわせて読みたい ] 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09) 「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08) 「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06) Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17) 診療所の売れ行きに直結する「概要書」の大切さ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第39回(2022/05/09) 医療マンガ大賞2021「たった一時間されど一時間」受賞者描き下ろし作品(ささき かずよ氏)(2022/04/18) 「急ぎ」のお宝承継をゲットできる医師は…?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第38回(2022/04/11) Dr.田中和豊の血液検査指南 電解質編(2022/04/10) 医療マンガ大賞2021「命のバトン」受賞者描き下ろし作品(ささき かずよ氏)(2022/03/17)