注意欠如・多動症(ADHD)は、不注意、衝動性、多動の持続的な症状を特徴とする神経生物学的障害である。これまでも、小児期の食事と潜在的なADHDの病因との関連について調査されている。ブラジル・ペロタス連邦大学のBianca Del-Ponte氏らは、ADHDと食事パターンとの関連についてのエビデンスをシステマティックにレビューした。Journal of Affective Disorders誌2019年6月1日号の報告。
PubMed、LILACS、PsycINFOのデータベースより、独立した2人のレビューアーが文献検索を行った。対象は、小児および青年における食事パターンとADHDについて評価した研究とした。研究間の異質性は、推定値をプールしたランダム効果モデルを用いて評価した。
ADHDリスクを不健康な食事パターンが増大させる可能性
ADHDと食事パターンとの関連についてのレビューの主な結果は以下のとおり。
・14件の観察研究(コホート:4件、ケースコントロール:5件、横断研究:5件)が抽出された。
・プール分析では、健康的な食事パターンがADHDに保護的であったのに対し(OR:0.65、95%CI:0.44~0.97)、不健康な食事パターンはADHDリスクとしてみなされた(OR:1.41、95%CI:1.15~1.74)。
・デザイン(コホート、ケースコントロールまたは横断研究)、大陸(ヨーロッパまたはアジア、オセアニア)、サンプルサイズ(1,000例以上または1,000例未満)により研究を層別化した後でも、その効果は認められた。
著者らは「甘味料や飽和脂肪酸を多く含む食事は、ADHDリスクを増大させる可能性があり、果物や野菜を多く取るような健康的な食事は、ADHDに対し保護的に働く。しかし、利用可能な研究データは少なく、現時点でのエビデンスは強くないため、今後は縦断的なデザインを用いた研究を実施する必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)