オピオイド誘発性便秘(OIC)はオピオイド治療において頻度の高い有害事象の1つであり、ナルデメジン(商品名:スインプロイク)はOIC治療に承認されている末梢性μオピオイド受容体拮抗薬である。わが国の実臨床におけるナルデメジンのOIC患者に対する安全性と有効性を調査したPhase-R OIC試験の結果が、国立がん研究センター中央病院 清水 正樹氏、ガラシア病院 前田 一石氏らにより米国臨床腫瘍学会年次総会ASCO2019で発表された。
ナルデメジン初回投与後71.6%が24時間以内に自発的排便
Phase-R OIC試験は、わが国の14施設の緩和ケアチーム・病棟によるリアルワールドレジストリ研究。ナルデメジンを投与したOIC合併がん患者を観察した。主要評価項目はナルデメジン初回投与後24時間以内の自発的排便([spontaneous bowel movement、以下[SBM])。副次評価項目はナルデメジン初回投与7日間のSBM回数と有害事象である。
ナルデメジンを投与したOIC合併がん患者の主な観察結果は以下のとおり。
・2018年4月~12月に204例の患者が研究に登録され、ナルデメジン0.2mg/日の投与を7日間受け、184例(90.2%)が7日間の治療を完遂した。
・患者の平均年齢は63歳、50.5%が男性、主ながん原発部位は肺(23.5%)、消化管(13.7%)、泌尿器(9.3%)であった。
・オピオイド投与量の中央値は経口モルヒネ換算で30mg/日であった。
・患者の76.0%が緩下剤を日常的に併用しており、頻度の高いものは酸化マグネシウム(65.2%)、センナ(17.2%)であった。
・ナルデメジン初回投与後24時間以内にSBMが観察された患者は71.6%(146例)で、であった
・患者の62.8%(128例)が、ナルデメジン初回投与後1週間でSBM回数が増加した(1段階改善41.7%[85例]、2段階改善21.1%[43例])。
・頻度の高いナルデメジンの有害事象は、下痢(Grade1〜2:35例、Grade3:1例)および腹痛(Grade1〜2:10例、Grade3:1例)であった。
(ケアネット 細田 雅之)