片頭痛と認知症との関連に焦点を当てたこれまでの研究の多くは、一般的な併存疾患を調整することがうまくいっていなかった。ドイツ・IQVIAのKarel Kostev氏らは、英国の一般診療における片頭痛と認知症との関連を調査するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2019年8月6日号の報告。
1997~2016年に英国の一般診療施設67件で片頭痛と診断された患者と年齢、性別、インデックス年、診断がマッチした非片頭痛患者を対象に含めた。主要アウトカムは、インデックス日から10年間の認知症発症との関連とした。
主な結果は以下のとおり。
・対象として、片頭痛診断の有無にかかわらず7,454例の患者が抽出された。
・平均年齢は、67.7±5.8歳、女性の割合は72.9%であった。
・インデックス日から10年間で認知症と診断された患者は、片頭痛患者で5.2%、非片頭痛患者で3.7%であった(log-rank p<0.001)。
・男女別にみると、女性の片頭痛患者5.8%、女性の非片頭痛患者3.6%(log-rank p<0.001)、男性の片頭痛患者4.5%、男性の非片頭痛患者3.4%(log-rank p=0.722)であった。
・片頭痛診断とすべての認知症(HR:1.43)およびアルツハイマー病(HR:1.87)との間に正の関連が認められた。
・感度分析では、これらの関連性は、女性のみで有意であった(すべての認知症HR:1.65、アルツハイマー病HR:2.27)。
著者らは「女性において、片頭痛診断と認知症との関連が明らかとなった」としている。
(鷹野 敦夫)