新たなJAK阻害薬、中等症~重症の成人アトピー性皮膚炎に有効

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/23

 

 アトピー性皮膚炎(AD)に対するJAK阻害薬の開発が進んでいる。開発中の経口JAK1選択的阻害薬abrocitinib(PF-04965842)について、中等症~重症の成人ADに対する短期使用の有効性および忍容性が、第IIb相プラセボ対照無作為化試験で確認された。カナダ・SKiN Centre for DermatologyのMelinda J. Gooderham氏らが報告した。abrocitinibは、ADの病理生理学的特性に重要な役割を担うサイトカイン(IL-4、IL-13、IL-31、インターフェロンγなど)のシグナル伝達を阻害する。今回の第II相試験では、200mg、100mg、30mg、10mgの各用量を1日1回投与し、プラセボとの比較検証を行った。なお、本試験の結果を受けてabrocitinibの200mgと100mgの有効性と安全性を評価する第III相試験が行われている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月2日号掲載の報告。

 試験は2016年4月15日~2017年4月4日に、オーストラリア、カナダ、ドイツ、ハンガリー、米国の58施設で行われた。試験デザインには二重盲検並行群間比較が用いられた。

 被験者は、中等症~重症との診断を受けてから1年以上、局所療法の効果不十分または禁忌(12ヵ月間で4週間以上)の18~75歳の患者267例であった。

 被験者を無作為に1対1対1対1対1の5群に割り付け、abrocitinib(200mg、100mg、30mg、10mg)またはプラセボを12週間投与した。

 主要アウトカムは、医師による全般的評価(IGA:Investigator's Global Assessment)による改善度が、12週時にベースラインから2グレード以上改善し、消失(0)またはほぼ消失(1)に達した患者の割合とした。副次アウトカムは、EASIスコア(Eczema Area and Severity Index)のベースラインから12週時の変化率とした。

 有効性はFAS(full analysis set)で評価した。試験薬を1投与以上受けた全患者を包含し、1試験地での4例を除く修正intention-to-treat集団(263例)を対象とした。

 主な結果は以下のとおり。
・267例のうち144例が女性であった(平均年齢40.8[SD 16.1]歳)。abrocitinib群(200mg群55例、100mg群56例、30mg群51例、10mg群49例)、プラセボ群56例であった。
・12週時点で、主要アウトカムを達成した患者の割合は、abrocitinib 200mg群21/48例(43.8%、両側検定のp<0.001)、100mg群16/54例(29.6%、p<0.001)で、プラセボ群は3/52例(5.8%)であった。30mg群は4/45例(8.9%、p=0.56)、10mg群は5/46例(10.9%、p=0.36)であった。
・上記の結果は、最大効果モデルベースの推定値では、200mg群44.5%(95%信頼区間[CI]:26.7~62.3)、100mg群27.8%(14.8~40.9)、プラセボ群6.3%(-0.2~12.9)に相当した。
・EASIの低下率は、200mg群82.6%(90%CI:72.4~92.8、p<0.001)、100mg群59.0%(48.8~69.3、p=0.009)で、プラセボ群35.2%(24.4~46.1)であった。
・治療関連有害事象(TEAE)は、184/267例(68.9%)、計402件報告されたが、そのほとんどが軽症であった。
・TEAEはいずれの群でも3例以上報告があった。最も頻度が高かったのは、アトピー性皮膚炎の悪化、上気道感染症、頭痛、悪心、下痢であった。
・abrocitinib群では用量依存の血小板数の減少が観察されたが、4週以降はベースライン値へと上昇に転じた。

(ケアネット)