Alcohol Quality of Life Scale(AQoLS)は、西洋において健康関連QOL(HR-QoL)に対するアルコール使用障害(AUD)の影響を評価する際に有用な尺度として用いられている。久里浜医療センターの樋口 進氏らは、AQoLS日本語版の心理測定特性について評価を行った。Quality of Life Research誌オンライン版2019年10月4日号の報告。
日本においてAUDの日常的な治療を受けている患者を対象に、3ヵ月間の観察コホート研究を実施した。HR-QoLは、AQoLS日本語版(34項目、7ディメンション)を用いて評価を行った。心理測定スケールは、相関法を用いて分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・132例の患者データを分析した。
・AQoLS日本語版の項目間およびスケールの相関は、中程度から強度であった。
・確認的因子分析の結果では、AQoLS日本語版の仕組みはサポートされたが、いくつかの項目と因子との間に相互依存的証拠が認められた。
・内的整合性は、クロンバックのα係数が0.73~0.97で比較的良好で、ベースライン時と2週間後の間のスコアの級内相関係数は、0.65~0.82であった。
・収束的妥当性、弁別的妥当性、既知のグループの妥当性は、サポートされた。
・グループ内での変化の評価では、AQoLS日本語版の総スコアとドメインは、経時的なHR-QoLの有意な改善を一貫して示した(すべてのケースにおいてp<0.001)。
・AQoLS日本語版総スコアの臨床的に重要な最少差推定値は、グループレベルの変化で13.2~18.2、グループレベルの差で2.4~15.7であった。
著者らは「AQoLS日本語版は、HR-QoLの信頼できる有効な指標であり、日本においてAUDの日常的な治療にベネフィットを与えることができる」としている。
(鷹野 敦夫)