重度の日本人アルコール依存症に対するナルメフェンのランダム化比較試験(第III相試験)

提供元:ケアネット

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公開日:2019/08/01

 

 アルコール摂取量を減らすことは、アルコール依存症患者にとっての治療アプローチの1つである。東京慈恵会医科大学の宮田 久嗣氏らは、飲酒リスクレベル(drinking risk level:DRL)が高い、または非常に高い日本人アルコール依存症患者を対象に、ナルメフェンの多施設共同ランダム化二重盲検比較試験を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年7月12日号の報告。

 対象患者は、心理社会的治療と併せて、必要に応じてナルメフェン20mg群、10mg群、プラセボ群にランダムに割り付けられ、24週間治療を行った。主要評価項目は、大量飲酒日数(heavy drinking day:HDD)のベースラインから12週目までの変化とした。副次的評価項目は、総アルコール摂取量(total alcohol consumption:TAC)のベースラインから12週目までの変化とした。

 主な結果は以下のとおり。

・12週目の主要評価項目の分析対象症例数は、ナルメフェン20mg群206例、ナルメフェン10mg群154例、プラセボ群234例であった。
・ナルメフェン群は、プラセボ群と比較し、12週目のHDDの有意な減少が認められた(20mg群:-4.34日/月[95%CI:-6.05~-2.62、p<0.0001]、10mg群:-4.18日/月[95%CI:-6.05~-2.32、p<0.0001])。
・同様に、ナルメフェン群は、プラセボ群と比較し、12週目のTACの有意な減少が認められた(p<0.0001)。
・治療に起因する有害事象の発生率は、ナルメフェン20mg群87.9%、ナルメフェン10mg群84.8%、プラセボ群79.2%であった。これらの重症度は、ほとんどが軽度または中程度であった。

 著者らは「ナルメフェン20mgまたは10mgは、DRLが高い、または非常に高い日本人アルコール依存症患者に対し、アルコール摂取量を効果的に減少させ、忍容性も良好であった」としている。

(鷹野 敦夫)